政府、半導体産業育成のためアイントホーフェン「ブレインポート」に25億ユーロ投資へ

(オランダ)

アムステルダム発

2024年04月01日

オランダ政府は3月28日、半導体産業における人材やインフラ、エネルギー不足といった問題に対応するため、北ブラバント州にあるハイテク産業集積都市アイントホーフェンの「ブレインポート」地区へ総額25億1,000万ユーロを投資すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同事業は「ベートーベン・プロジェクト」と名付けられている。

まず、国内の半導体産業の人材育成を強化するために、政府は2030年までに4億5,000万ユーロを、その後は年間8,000万ユーロを投資する。インフラについては、「ブレインポート」地区のより良いビジネス環境を整備すべく、アイントホーフェン中央駅への追加投資を行い、電車、バス、自転車、住居のための用地を確保する。また、高速バスを拡充し、地区内にあるさまざまなキャンパスなどの拠点間や、アイントホーフェン中央駅へのアクセスなど交通網の改善を図る。これらのインフラ整備のために、政府は7億1,800万ユーロを、アイントホーフェン地域が3億4,000万ユーロを拠出する。さらに、住宅不足の解消のため、政府と同地域は2030年末までに約2万戸の住宅を新たに建設すべく、共同で4億2,500万ユーロを拠出する。同地区の送配電網不足に関しても、解決に向けた検討を行う。

政府とアイントホーフェン地域による投資額25億1,000万ユーロのうち、政府は17億3,000万ユーロを拠出する。政府は同予算に国家成長基金から12億8,000万ユーロを、残りの4億5,000万ユーロはモビリティ基金などを充てる計画。

今回の「ブレインポート」地区への投資発表の背景には、オランダ半導体大手ASMLが、政府による税制措置の削減を理由に本社所在地の国外移転を検討していることが主にある。政府はアイントホーフェン地域の持続的な開発を促進することで、ASMLが同地域へさらに投資し、本社移転を行わないことを期待している。政府はまた、数々の税制措置の削減に対する代替案を今後、提示するとした。

(望月竜之介)

(オランダ)

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