工業分野の設備更新実施プラン発表、DX・グリーン化中心に推進

(中国)

北京発

2024年04月18日

中国の工業情報化部や国家発展改革委員会など7部門は4月9日、「工業分野の設備更新を推進する実施プラン外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。同プランでは、デジタルトランスフォーメーション(DX)とグリーン化を重点とする大規模な設備更新を通じて、製造業のハイエンド化、スマート化、グリーン化を推進するとした。

同プランでは数値目標として、2027年までに工業分野の設備投資の規模を2023年比で25%以上増加させ(注1)、一定規模以上の工業企業のデジタル化研究開発・設計ツールの普及率、コア工程の数値制御(NC)化率をそれぞれ90%超、75%超に引き上げるとした。

具体的には、(1)先進設備の更新、(2)DXの推進、(3)グリーン設備の普及、(4)本質的な安全性向上の4分野について、12項目の措置を打ち出した(詳細は添付資料表参照)。

(1)では、工作機械、農業機械、建設機械など、生産設備が全体として中・低レベルにある業種を対象に、非効率な設備や耐用年数を超えて老朽化した設備の淘汰(とうた)を加速する。航空、太陽光発電、動力電池、バイオ発酵産業で、ハイテク・高効率・高信頼性の先端設備の更新・アップグレードを奨励する。また、石油化学・化学工業、医薬品、船舶、電子などの重点産業では、設計検証、試験検証、工程検証などの中間試験と検査測定用の先進設備を更新するとしている。

(2)では、生産、倉庫・物流、品質管理の設備更新を中心に、CNC(コンピュータ数値制御)工作機械や基本的な製造設備、産業用ロボット、感知・測定設備などの汎用(はんよう)型スマート製造設備の更新を推進する。スマート工場の建設を加速するため、次世代情報技術を製造の全プロセスと全要素に深く融合することを加速させつつ、生産工程の革新、リーン生産マネジメント(注2)、ビジネスプロセス・リエンジニアリング(BPR)を推進するとしている。

(3)では、生産設備のグリーン化を加速、主要なエネルギー設備のエネルギー効率の向上、固体廃棄物処理設備と節水設備の利用を加速するとしている。

同プランは国務院が3月13日に発表した「大規模設備の更新と消費財の買い替え推進行動プラン」(2024年3月22日記事参照)を具体化したもの。なお、国家発展改革委員会の趙辰昕副主任は4月11日に開催された国務院の政策説明会で、交通輸送、教育、文化・観光、医療分野の実施プランも策定中と明らかにしている。

(注1)4月11日に開催された国務院の政策説明会で工業情報化部の単忠徳副部長が行った説明によると、2023年の工業分野の設備投資額は前年比8.7%増の4兆4,000億元(約92兆4,000億円、1元=約21円)で、設備投資額全体の7割超を占めた。

(注2)無駄を排除した合理的な生産システム。

(張敏)

(中国)

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