電気通信庁、携帯電話サービスにおける衛星通信試験運用を許可

(ブラジル)

サンパウロ発

2024年03月22日

科学技術革新省傘下のブラジル電気通信庁(Anatel)は3月7日、携帯電話サービスにおいてダイレクト・トゥ・デバイス(D2D)と呼ばれる、基地局を介さず衛星通信を利用する通信の試験運用を許可した。3月7日付現地紙「バロール」によると、スマートフォンなど一般的な携帯端末の場合、衛星通信の利用は規定されていないため、Anatelは規制のサンドボックス制度(注)を利用し、2年間のみ実験的に認めることとなった。

Anatelのアレシャンドレ・フレイレ理事は、3月8日付Anatel公式リリースで「D2Dというソリューションの導入によって個人向けのモバイルサービスの範囲を拡大し、遠隔地や田舎に通信を届けることで情報格差をある程度埋めることができる。それは経済発展につながることだ」と述べた。Anatelのカルロス・バイゴリ会長も同リリースで、D2Dが「通信サービスの普遍化に貢献できる」と期待の声を寄せた。Anatelのデータによれば、ブラジルで第4世代(4G)移動通信システムのカバレッジは人口のほぼ93%をカバーしているが、国土面積に対しては16.7%をカバーしているにすぎない。

3月13日付現地紙「バロール」によれば、ASTスペースモバイル、スターリンク、そしてリンクの米国企業3社の衛星通信事業者は既にAnatelに対して、携帯電話サービスにおいてD2Dを実施する意向を表明した。ただし、3月8日付Anatel公式リリースによると、申請できるのは携帯電話会社であり、衛星通信事業者がかならず携帯電話会社と共同に計画を作成する必要がある。

(注)規制のサンドボックス制度とは、イノベーションの創出に向けた実証実験を進めるため、該当分野の規制を一時的に緩和するもの。3月8日付Anatel公式サイトによると、規制サンドボックス制度の利用は2023年10月18日付政令第11,738号によって認められている。

(エルナニ・オダ)

(ブラジル)

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