米テキサス州北西部の大規模山火事、連邦が再建費など拠出

(米国)

ヒューストン発

2024年03月14日

米国テキサス州のグレッグ・アボット知事(共和党)は3月13日、米国中小企業庁がパンハンドル地域(注1)で2月26日に発生した山火事に災害宣言を出したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。アボット知事は3月11日、同庁に対して同宣言を要請していた。本宣言により、カーソン郡、ヘンフィル郡、ハチンソン郡など14郡で被害を受けた住宅や企業が再建費用として長期低利融資などを受けられるようになる。このほかにも、同州は消火活動隊の追加配備や、連邦緊急事態管理庁から消火活動費の75%をカバーする財政支援の認定を受けるなどの対策を講じている。

同州最大規模の山火事となったスモークハウス・クリーク火災では、3月12日時点で105万8,482エーカー(約4,284平方キロ)が焼失した。近隣で発生したウィンディー・デュース火災も含めると、焼失面積は東京都の面積の2倍以上に相当する(注2)。

テキサスA&M大学によると、既に火災の9割方は鎮火したとするが、複数メディアは、この火災によって2人が死亡したと報じている。また、家畜の被害は1万頭を上回る見込みだ。テキサス農業局の報道官は「一面の焼け野原は、牧場が全ての牧草と放牧の能力を失ったことを意味する」と述べている。被害を受けた地域の復興には数年を要するとみられている(「ガーディアン」3月13日)。市場全体への影響について、テキサスA&M大学農業経済学部教授のデビッド・アンダーソン氏は、全米の肉牛飼育数2,820万頭に対してテキサス州は410万頭にすぎないとの理由から、「必ずしも牛または牛肉の価格には大きく影響しない」と述べている(テキサスA&M大学トゥデー3月6日)。一方、米国農業局連盟のエコノミストのバーント・ネルソン氏は、消費者の牛肉需要が引き続き旺盛なことを踏まえ、「米国の牛肉在庫は73年ぶりの低水準だ」「供給の流れを変える小さな出来事でも、価格に大きな影響を与え得る」と指摘している(マーケットウオッチ3月11日)。

(注1)テキサス州北西部の地域。フライパンの取っ手のような形からついた呼称。

(注2)ウィンディー・デュース火災での焼失面積は14万4,045エーカー(約583平方キロ)。両火災による焼失面積は延べ120万2,527エーカー(約4,866平方キロ)。東京都の面積は約2,200平方キロ。

(桜内政大、キリアン知佳)

(米国)

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