英政府、女性起業家支援にコミット、新たなタスクフォースも設立

(英国)

ロンドン発

2024年03月25日

英国で3月8日、国際女性デーに合わせ、各界で活躍する女性らが参加するレセプションが首相官邸で行われた。リシ・スナク首相はレセプションに当たって声明を発表。女性起業家の支援を含め、長期的な変化に向けた決意を表明した。

政府が2022年に設立した「女性主導の高成長企業タスクフォース(Women-Led High-Growth Enterprise Taskforce)」はこれに先立つ2月28日に報告書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公表。同タスクフォースでは、特にロンドン以外の地域で女性主導の高成長企業を増やすことを目標としている。報告書は英国の現状について、創業者に少なくとも1人以上女性がいる高成長企業の割合は18%にとどまっているとし、状況改善に向けて資金調達環境や規制、エコシステム形成などさまざまな分野の取り組みを提案している。

政府や政府系金融機関の英国ビジネス銀行(BBB)が主導する女性起業家の支援に対するコミットメントを示す「女性への投資コード(Investing in Women Code、IWC)」への署名機関は2023年3月に204社となり、前年同月の146社から大幅に増加。しかし、女性主導の企業への融資額は男性主導の企業に比べると差があり、2022年には格差が拡大し、平均承認額は17万4,000ポンド(約3323万4,000円、1ポンド=約191円)で、男性主導型企業(50万7,000ポンド)の34%にとどまっているとした。 また、女性投資家の割合は依然として低く、投資チームの女性の割合は平均32%、投資委員会では同24%とした。

こうした状況を受け、政府は3月18日、起業家デビー・ウォスコウ氏と英金融機関バークレイズのハンナ・バーナード氏、小規模企業担当相のケビン・ホリンレイク氏が共同議長を務める「女性への投資タスクフォース(Invest in Women Taskforce)」の新設を発表。同タスクフォースでは、女性が起業した企業向けの民間資金によるポット(資金枠)を設置するほか、女性起業家が直面する課題の解決に取り組む。

大企業での女性役員割合は増加も、目標達成には一層の努力必要

2月には、政府の支援を受けた報告書「FTSE 女性リーダーに関する調査結果PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」が公表された。ロンドン証券取引所(LSE)の「FTSE350」(注1)構成企業の取締役会の女性割合(2023年)は、前年の40.2%から42.1%に増加。リーダーシップ層(注2)でも33.5%から34.5%に増加した。一方で、2025年までに上位350社のリーダーシップ層の女性割合を40%とする目標の達成は困難として、企業の一層の努力を促した。

(注1)ロンドン証券取引所(LSE)の株式指標。LSEに上場する企業のうち、時価総額上位350位の企業の銘柄で構成している。

(注2)執行役員とその直属の部下。

(山田恭之、野崎麻由美)

(英国)

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