米格付け会社ムーディーズ、米地銀NYCBの格付けを1段階引き上げ

(米国)

ニューヨーク発

2024年03月19日

米国大手格付け会社ムーディーズ・インベスターズは3月15日、米地銀ニューヨーク・コミュニティー・バンコープ(NYCB)の長期発行体格付けをB3からB2に1段階引き上げると発表した。ムーディーズは同月7日、NYCBが投資会社などから10億ドルの融資を受けると発表したことなどを踏まえ、見通しを「格上げ検討」としていた(2024年3月14日記事参照)。これに沿ったものとなる。

今回の引き上げ理由について、ムーディーズは、(1)投資家による10億ドルの資本注入が完了した結果、自己資本比率の中でも特に重視される普通株式などからなるティア1(CET1、注)比率が10.2%まで上昇したこと、(2)年次財務報告書が期限内に提出され、これに対する監査意見を受けたことの2点を挙げている。

今後の見通しについては「ポジティブ」とされ、(1)自己資本比率を維持するとともに、ポートフォリオにこれ以上過大な損失を発生させたり、預金を減少させたりすることなく、安定的な利益率を達成する道筋を示すことができた場合、(2)市場からの資金調達を大幅に削減、流動性を強化、資本をさらに増強し、商業用不動産への集中を軽減した場合、(3)ガバナンス、監督、リスク管理、内部統制の持続的な改善を実証した場合に格付けがさらに引き上げられる可能性があるとした。

(注)銀行の自己資本のうち、内部留保で構成される部分。

(加藤翔一)

(米国)

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