通関電子化、ライセンス発給省庁などを5月に追加接続

(カンボジア)

プノンペン発

2024年03月27日

カンボジア政府は3月7日、輸出入の際に必要なライセンス取得の手続きなどをオンライン窓口で一本化するカンボジア・ナショナル・シングル・ウィンドウ(CNSW)に8省庁・局など(注1)を追加で接続し、5月2日から新たに運用を開始すると発表した。これまで接続されていた組織(注2)と合わせると、全体で13省庁・局などがCNSWにつながることになる。フン・マネット首相は、2028年までに通関手続きの電子化を完了させると宣言しており、長年、日本を含む各国商工会議所からの要望が多かった通関手続きの簡素化と電子化が前進したかたちだ。

これまでカンボジアでは、他国と比較して物流コストが高いことが投資環境の阻害要因といわれてきた。ジェトロの「2023年度海外進出日系企業実態調査」によると、カンボジア進出日系製造業の現地調達率は10.5%にとどまり、原材料・部品の約9割を輸入に頼っている。そのため、製造コストを抑えるためには、物流コストの低減が課題となっている。

また、2024年1月1日には電子通関システム(ASYCUDA)上での輸出入通関書類の申請が可能になった。特に、輸入申告から荷物受け入れまでの手続きが、電子システムと書類の併用から、電子システムへの入力とオンライン支払いのみで完結できるようになり、利便性が大きく向上した。日系物流関係者は「電子通関システムの運用は他国の運用と遜色ないレベルまで改善している」と話す。ASYCUDAとCNSWは2016年から相互接続されているが、2024年5月以降は、許認可が必要な品目を輸入または輸出する際、許認可は申請後すぐに発行されるようになる見込みだ。

(注1)2024年5月2日から運用開始予定で追加される省庁・局など

  • 5省庁:環境省、農林水産省、鉱工業・エネルギー省、郵便電気通信省、文化芸術省
  • 3局など:国際協力・債務管理総局、商業ギャンブル管理委員会、国立銀行
  • ※外務国際協力省、国防省、内務省は接続可能性について調整中。

(注2)2024年3月現在、運用開始済みとされる省庁・局など

  • 3省庁:商業省、保健省、産業・科学・技術・イノベーション省、(農林水産省)
  • 2局など:関税消費税総局、カンボジア開発評議会
  • ※農林水産省は、現時点で十分に機能しておらず、2024年5月の運用開始を目指す。

(春田麻里沙、トー・タイ)

(カンボジア)

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