福井の伝統工芸品を求め台湾と英国のバイヤーが産地を訪問

(福井、台湾、英国)

福井発

2024年03月12日

ジェトロは22527日、台湾と英国のバイヤーを招聘(しょうへい)し、福井県で伝統工芸品を取り扱う企業や組合との商談を実施した。

今回の招聘は、ジェトロの地域貢献プロジェクト(注)の枠組みで実施。本プロジェクトを通じて、福井県の伝統工芸品・日用品の海外販路開拓に取り組んでいるが、今回は海外バイヤー側からの「自力ではたどり着けない優れた日本産品を発掘したい」「生産者に直接会って話をしたい」といった要望を受けて行ったもの。台湾からは設計事務所でセレクトショップ運営も行う聯合治作(れんごうじさく)有限会社、英国からは5つ星ホテルのザ・プリンス・アカトキ・ロンドンが福井市、鯖江市、越前市、越前町、小浜市の事業者と商談したほか、工房も見学した。

写真 台湾バイヤーによる漆器メーカー訪問(ジェトロ撮影)

台湾バイヤーによる漆器メーカー訪問(ジェトロ撮影)

写真 英国バイヤーによる越前和紙メーカー訪問(ジェトロ撮影)

英国バイヤーによる越前和紙メーカー訪問(ジェトロ撮影)

バイヤーからは、「製品がどのような想いでつくられているのかを理解できた」「越前和紙の表現のバリエーションは他とは異なり素晴らしい」といった福井県内産地の特徴・強みに関するコメントがあった。また、越前焼に漆を塗った酒器や、和紙に漆を塗った小物などについて、「複数の伝統工芸が狭いエリアに集積している福井だからこそ成し得るコラボレーションだ」と製品の魅力を語った。さらに、「製品やビジネスモデルがサステナビリティーに配慮しており、これは自社のブランドの方向性に合致し採用しやすい」という評価の声もあった。

商談に参加した県内事業者からは、「デザイン性や日本的なイメージに引かれるような商品に関してはある程度高くても購入していただける可能性があると感じた」(越前漆器を扱う団体)、「海外のバイヤーに直接見ていただくことは、成約に至らなくても商品の開発や改良に生かすことができる」(越前和紙メーカー)など海外企業とのやり取りについて前向きに捉える声が聞かれた。

ジェトロは2023年度に、福井県の伝統工芸品事業者と海外バイヤーとのマッチングイベントを複数回実施しており、今回以外にも台湾や英国、オーストラリア企業との商談アレンジを行っている。

(注)地方における複数の中小企業の海外販路開拓・拡大を目的とし、海外バイヤーとの商談や商談成果を高めるための活動を行うもの。福井県は、2023年度に越前漆器の台湾向け販路開拓事業、および、伝統工芸品・日用品分野の北陸産品の英国・オーストラリア向け販路開拓事業を行っている。

(齋藤寛、清島優花)

(福井、台湾、英国)

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