第4四半期の実質GDP成長率、前期比0.1%、2023年通年のGDPは0.6%と伸び悩み

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2024年03月15日

南アフリカ共和国統計局は3月5日、2023年第4四半期(10〜12月)の実質GDP成長率(前期比、季節調整済み)を0.1%と発表した(添付資料表1参照)。

同四半期の実質GDPを産業別でみると、10項目のうち6項目がプラス成長だった。特に運輸・倉庫・通信業が全項目中最大の2.9%増で、当局は全ての経済活動で運輸業が活発だったと評した。鉱業(2.4%増)では、白金族の金属、クロム鉄鉱、石炭、ダイヤモンドの生産量増加が成長を後押しした一方で、鉄鉱石と金の生産量が不調だった。電気・ガス・水道(2.3%増)では、第3四半期(7~9月)の停電日数が91日だったことに対して、今期は63日に減少したことが影響した。

製造業は、輸送機器、食品・飲料、木材、紙、印刷の好調により、0.2%増だった。

全項目中で最大のマイナス成長は、農林水産業の9.7%減で、2四半期連続のマイナス成長を記録した。小麦、サトウキビ、ブドウやかんきつ類、鶏肉や卵などの生産量減少が響いた。

需要項目別(添付資料表2参照)では、第3四半期に低迷した民間最終消費支出が0.2%増となり、耐久財やサービスへの消費が好調だった。財・サービスの輸入は4.0%増で、鉱物、化学製品、農産品(主に野菜)の輸出増加が成長率を押し上げた。

2023年の年間実質GDPは0.6%と低成長に終始した。金融、不動産業、企業サービスが好調で、GDPへの貢献度は0.4ポイントだった。2023年通年で見ると、農林水産業、電気・ガス・水道、鉱業などがマイナス成長を記録した。

南ア当局は2024年、2025年のGDP成長率の予測をそれぞれ1.2%、1.3%と発表した。大手銀行のインベステックは、2024年の南ア経済は依然として低調で、エネルギー・水不足、物流の混乱が成長を限定的にすると見通し、世界的な市場の動向(特に需要や価格の低迷)、国内金利の高騰が上半期の経済に大きな影響を与えると予測する。さらに、5月29日に予定されている総選挙とその経済政策に与える影響の不確実性が市況を損ねることを懸念した。

(堀内千浪)

(南アフリカ共和国)

ビジネス短信 5c5d3813020ce60b