欧州環境庁、循環型経済に向けた進捗を分析、政策提言も

(EU)

ブリュッセル発

2024年03月26日

欧州環境庁(EEA)は3月21日、欧州の循環型経済への移行状況を評価し、移行を加速するため、より拘束力のある目標志向の政策にすべく、政策提言を含めた報告書を発表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

報告書によると、欧州は、原材料や食糧、燃料など天然資源に大きく依存しており、気候変動に影響を与えているが、過去の資源多消費に比べるとやや改善がみられると現状を評価した。しかし、EUの原材料の総消費量がわずかに減少した一方、地政学的リスクが高まる中、重要原材料や金属、鉱物、化石燃料の輸入の依存割合は高まっている。2022年の欧州のリサイクル素材の消費比率は11.5%と、他の国・地域よりも高いものの、2030年までに倍増する目標が今後数年間で達成される可能性は低中程度とした。

政策提言としてEEAは、各加盟国で循環型経済の優先順位を上げるため、資源利用やマテリアルフットプリント(注)など、廃棄物の収集とリサイクル以外の分野への目標設定を挙げた。原材料本来の機能と価値を可能な限り長く維持する質の高いリサイクルを促す政策やエコデザイン規則案(2023年12月11日記事参照)の活用にも言及。さらに、リサイクル材が再び市場で流通しやすいよう原材料にも注意を払うべきだとした。

同時に、循環型経済への移行には、消費を削減する必要があるが、現在はむしろ増えている点を踏まえ、今後のEUの政策には、消費者行動の変化を促すための継続的な調査や、公正な移行の原則を取り込むことが必要だとした。

(注)その国における需要を満たすために必要な原材料の量を反映する指標。

(大中登紀子)

(EU)

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