米テキサス州知事、英国にミッションを派遣し、経済連携強化を図る覚書を締結
(米国、英国)
ヒューストン発
2024年03月26日
米国テキサス州のグレッグ・アボット知事(共和党)は3月15日、英国との経済連携強化を図る経済開発ミッション派遣を完了したと発表した(注1)。アボット知事は同ミッションを率いて3月12~14日に英国を訪問し、協力覚書を締結したことや、リシ・スナク英国首相との会談、企業幹部との面談を通じて「今回の訪英は、両者における持続可能な経済成長、最先端のイノベーション、雇用創出を促した」と振り返った。
3月13日には、アボット知事とケミ・ベイデノック英国ビジネス通商相兼女性・平等担当相が、両者間の貿易投資などの促進に関する協力覚書(注2)に署名した。両者間の強力な協力関係を深化させ、重要産業の拡大を促し、雇用を創出する投資をテキサスに誘致することが狙いだ。相互協力の優先産業分野には、水素や二酸化炭素(CO2)回収・利用・貯留(CCUS)やエネルギー貯蔵を含む新興エネルギーソリューション、化学、ヘルスケア、サプライチェーンおよび重要鉱物、先端技術、航空宇宙、インフラ、都市間高速鉄道などを含む輸送サービス、金融・法務など専門サービスが挙げられた。
具体的な取り組みの概要は次のとおり。
- 経済協力の深化を通じた両者に所在する企業間の貿易の促進
- 貿易、投資、経済協力に関する既存、または新規の障壁の特定と対処
- 投資家やインセンティブ、企業支援策の紹介などを通じた双方向投資の促進
- イノベーションの促進(レジリエントなベストプラクティスの共有など)およびイノベーションを支援する将来を見据えた規制の枠組み
- 両者のビジネスのつながりの強化、経済開発の支援、投資および質の高い雇用創出の奨励
- サプライチェーンの強靭さを向上させる機会の特定
- 世界をリードする学術機関に限定されない業界間の交流を促進し、知識とベストプラクティス、共同プロジェクト、研究の共有を奨励し、英国とテキサス州間の関与の機会を開拓する
- 新興技術やデジタル分野が国際経済の発展にもたらす可能性を理解し、経済協力と発展を促進
- 専門資格の認定・取り決めを追求することに関心のある規制当局や専門機関における相互認証を奨励
- より優れたエネルギー回復力を確保するため、新興エネルギーソリューションの開発を支援
(注1)ミッションにかかる経費は、非営利団体で、テキサス州のマーケティングを担うテキサス経済開発公社により賄われた。同公社とテキサス州知事室経済開発・観光局が、テキサス州のさらなる成長に向けた経済開発に取り組んでいる。
(注2)貿易協定ではなく、相互の互恵関係を築くため双方の意思を確認するもの。法的な権利や義務を規定するものではない。合衆国憲法第8条第3項では、海外との通商に関する取り決めは、連邦議会に立法権限があると規定している。
(キリアン知佳)
(米国、英国)
ビジネス短信 41c9f2c96e7cbfed