アンコール遺跡近郊に居住区を新設、日本のリサイクル会社も進出へ

(カンボジア)

プノンペン発

2024年03月22日

カンボジア政府は、シェムリアップ州・アンコール遺跡エリアからの移住者向けに、同近郊のルンタエク地区の整備を進めている。フン・マネット首相は2023年12月に同地区への訪問を踏まえて、2024年1月11日付の政令で同地区を含む「Run Ta Ek Techo Sen City(ルンタエク・テチョ・セン市)」の設置を発表した。また、日本のリサイクル会社のGOMIソリューションズ(本社:福岡県北九州市)が同市への進出を決めたことがわかった。

カンボジアは2017年以降、国連教育科学文化機関(ユネスコ)から世界遺産保全のため、アンコール遺跡エリア内の違法建築物(住居)を撤去するよう、複数回にわたって警告を受けてきた。カンボジア政府は世界遺産リストからの除名を避けるべく、同エリアに居住する人々をルンタエク地区へ移住させる計画を進め、2022年8月から移住が始まっている。シェムリアップ州のプラク・ソフォアン知事によると、現在、ルンタエク地区には約1,000ヘクタールの土地に6,000世帯以上が居住しているという。

新たに設置されるルンタエク・テチョ・セン市は、学校や病院、寺院といった施設が整いつつあるものの、アンコール遺跡エリアから20キロ離れており、同市内での雇用機会が限られている。そのため、住民の多くは移住後もなお、シェムリアップ州政府が提供する無料バスを使いながら、シェムリアップ市内で土産物の販売をするなどして生計を立てている。

新都市の社会課題解決へ、日本企業が進出を決定

ルンタエク・テチョ・セン市の整備に当たり、雇用創出や周辺地域を含めた廃棄物の処理などの需要があることを受け、日本のリサイクル会社であるGOMIソリューションズが同市内への進出に踏み切った。同社は、廃棄物からの資源生成を行う予定で、事業開始に向けて関係機関の認可を得るための手続き、廃棄物処理による採算性の各種検討を進めているという(2024年3月14日、GOMIソリューションズにジェトロヒアリング)。

写真 ルンタエク・テチョ・セン市の市場予定地に停まる無料バス(ジェトロ撮影)

ルンタエク・テチョ・セン市の市場予定地に停まる無料バス(ジェトロ撮影)

(藤田奈緒)

(カンボジア)

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