中東版「フォーブス」、アラブのファミリービジネス・トップ100を発表

(中東、湾岸協力会議(GCC)、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、カタール、クウェート、エジプト)

調査部中東アフリカ課

2024年03月21日

米国誌「フォーブス(Forbes)」の中東版「フォーブス・ミドルイースト」は3月12日、2024年版「アラブ・ファミリービジネス・トップ100」を発表した(注)。ランキングでは、湾岸協力会議(GCC)諸国の企業が目立ち、国別ではサウジアラビアが34社、アラブ首長国連邦(UAE)が28社、カタールとクウェートがそれぞれ7社で、4カ国で76%を占めた。

1位は、サウジアラビアのアブドゥル・ラティフ・ジャミール(Abdul Latif Jameel)が選出された。同社は、同国のトヨタの販売代理店事業をはじめとし、現在はモビリティー、エネルギー、水道、金融、健康、投資の分野で、35カ国以上で事業を展開している。2位には、トヨタやパナソニックなどの日系企業や、ラコステ、ヒューゴボス(HUGO BOSS)など世界的なブランドと提携するUAEのアル・フタイム・グループ(Al-Futtaim Group)、3位には、エジプトでゼネラルモーターズ(GM)の代理店、マクドナルドのチェーン店運営などを手掛けるマンスール・グループ(Mansour Group)が選出された。

選出された100社のうち、4分の1以上を占める26社は1950年以前に設立されている。歴史の長い企業が多いが、「フォーブス・ミドルイースト」は、ここ数十年で変化が起きていると指摘する。中東のファミリービジネスは、かつては接客(ホスピタリティー)、小売り、製造などの伝統的な分野を特徴としていたが、近年は新興産業への多角化が進み、研究開発やデジタルトランスフォーメーション(DX)などに投資する企業が増えているという。また、地域の境界を越えて世界に進出し、従来行っている欧州や米国での不動産やホスピタリティー分野での投資に加えて、先進国と開発途上国の両方でテック系スタートアップやサステナビリティーに取り組むベンチャー企業に投資を行うようになっている。

(注)ランキングは、アラブ人の家族が所有または経営する企業を対象に、保有する事業の規模や価値、過去1年間の事業活動〔IPO(新規株式公開)、新規プロジェクト立ち上げ、新規投資など〕、主要事業の業績、事業の分野的・地域的多様性、設立年などの歴史、総従業員数などに関する情報に基づいて作成される。

(稲山円)

(中東、湾岸協力会議(GCC)、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、カタール、クウェート、エジプト)

ビジネス短信 11adc507eb45a556