米テキサス州のSXSW2024、アーティストらが軍関係のスポンサーシップに抗議、不参加を表明

(米国)

ヒューストン発

2024年03月15日

米国テキサス州オースティンで3月8~16日まで開催中の世界有数のクリエーティブ・カンファレンスイベント「サウス・バイ・サウスウエスト(SXSW)2024外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」で、歌手や講演者など80人以上が参加をボイコットすると表明したことが話題になっている。SXSWのスポンサーに米陸軍や、イスラエル=パレスチナ問題でイスラエル側に武器を供与しているとされる軍事関係企業が加わっていることが理由だ。

これに対し、テキサス州のグレッグ・アボット知事(共和党)は3月12日、X(旧ツイッター)に「米国陸軍のスポンサーシップを巡り(音楽の)バンドがSXSWから撤退している。さようなら。戻ってこないで」と投稿した。知事は、米陸軍将来コマンド(注)の本拠地がオースティンにあること、軍基地の集積から「米国の軍事都市」として知られるサンアントニオがテキサス州にあることに触れ、「われわれは州内駐留米軍が誇りだ。気に食わないなら来なくてよい」と述べている。

SXSWは3月12日、インスタグラムで「アボット知事の意見に賛同しない」とする声明を発表した。SXSWは「多様な見方を歓迎する組織」だとし、「われわれは(不参加を表明した)これらのアーティストが言論の自由を行使するために行った決断を全面的に尊重する」と述べている。一方、防衛産業は新興技術の先駆者だとし、「米陸軍のスポンサーシップは、われわれの世界をかたち作るアイデアを前進させようとするSXSWの決意の一部だ」とも述べ、不参加を表明した側、スポンサーの双方の立場に配慮を示している。

SXSWは毎年、世界中から多くの芸術家、起業家、インフルエンサー、開発者、投資家などが集う。前回2023年3月は34万人以上が参加した(2023年3月24日記事参照)。市内中心部にある展示場やホテルなど多数の会場で同時多発的にイベントが開かれ、テクノロジーや映画・映像、音楽などのエンターテインメントに関する革新的なアイデアやスタートアップが紹介されている。

(注)長距離ミサイルや次世代戦車など米陸軍の装備の現代化を推進している。2018年7月に活動を開始。

(桜内政大)

(米国)

ビジネス短信 01379ff8e695fbd9