欧州産業界、産業競争力強化に向け「アントワープ宣言」を発表

(EU)

ブリュッセル発

2024年02月22日

ベルギーのアントワープで2月20日、EUおよび産業界の代表による「欧州産業サミット」が開催された。2024年上半期のEU議長国ベルギーが、欧州グリーン・ディールを補完する産業政策の策定に向けた取り組みの一環として開催したもので、同国のアレクサンドル・ド・クロー首相や、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長が出席。欧州化学工業連盟(Cefic)が中心となって、産業競争力強化に向けたEUへの政策提言「アントワープ宣言外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表し、企業や産業団体などから21日までに100以上の署名を集めている(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

アントワープ宣言では、次の10項目が提言された。

  1. EUの産業競争力強化に向けた包括的な行動計画の策定
  2. クリーンテック分野への公的支援の拡充
  3. 再生可能ガス、低炭素水素や原子力の安定供給、EU域内の電力網(グリッド)増強など競争力のあるエネルギー戦略
  4. エネルギー、デジタル、二酸化炭素の回収・有効利用・貯留(CCUS)、リサイクル分野のインフラの整備促進
  5. 重要原材料の安定供給に向け、域内生産、リサイクルの促進、域外国との連携強化に関する施策
  6. 公共調達や民間投資を通じた脱炭素技術関連製品に対する需要の拡大、域内企業の輸出促進への支援
  7. 単一市場の強化、廃棄物やリサイクル材の単一市場の創出と域内の電力市場の統合推進
  8. 研究開発支援、新技術など実証制度、知的財産権保護の強化などによるイノベーションの促進
  9. データ、科学的根拠に基づく現実的な政策立案、産業競争力への影響評価の実施
  10. 産業競争力強化策を総括する役職の創設など、欧州委の組織再編

(滝澤祥子)

(EU)

ビジネス短信 f5fbb08ea9db74fc