米議会公聴会でメタなどSNS大手5社が証言、子供の性的搾取巡って

(米国)

ニューヨーク発

2024年02月07日

米国連邦議会上院司法委員会は1月31日、オンライン上での児童の性的搾取の防止を目的とする法案を推進するため、メタなど大手SNSを運営する5社に対する公聴会外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを開催した。

今回公聴会の対象となった法案では、性的搾取問題の解決策として、Stop CSAM(注1)Actが盛り込まれている。この条項は、児童性的搾取の被害者が搾取を促進または促進したテックプラットフォームやアプリストア、またはCSAMをホスト、保存、または提供した企業を訴えることを可能にするものだ。こうした事後救済のための法案と併せて、オンライン上で未成年者を保護することを目的として「子供オンライン安全法(Kids Online Safe Act, KOSA)」の制定も推進されている。この法案はテック企業に、利用者に対するアクセス制限や表示されるコンテンツを管理し、プラットフォーム上のプライバシー保護や保護者による監督機能の強化を定めるものだ(CNBC1月31日)。

児童の性的虐待に対処することを目的としたこうした一連の法案は、2023年5月に司法委員会で超党派で承認された。しかし、業界ロビイストや一部の市民団体は、これらの規定はプライバシー保護を損ない、正当な言論を抑制する効果があるとして、米民主党上院トップのチャック・シューマー院内総務(ニューヨーク州)に、これらの措置を拒否するよう要請するなど反対の姿勢を示し、法案審議は停滞していた(「ワシントン・ポスト」紙電子版1月31日)。

こうした状況を進展させるべく開催された今回の公聴会では、メタ、TikTok、スナップ、ディスコード、X(旧ツイッター)の最高経営責任者(CEO)が証言に立ち、各社からCSAMに対する対策や見解を述べた。

各社は自社の対策として、次の取り組みを紹介した。

  • 児童の性的搾取コンテンツ(CSE)検出メカニズムの改善や特定の用語に対する検索ブロックシステムの導入、全米行方不明・被搾取児童センター(NCMEC)との連携強化など(XPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)
  • CSAMを迅速に検出・削除・報告できるチームとテクノロジーへの投資、専門家や業界関係者との連携強化など(TikTokPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)
  • 脅迫的な会話への介入ツールの開発や全米行方不明・被搾取児童センター(NCMEC)との連携強化など(スナップPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)
  • 保護者による監視ツールをはじめ、10代の若者保護のための各種ツール開発、犯罪者ネットワークを破壊するための取り組みなど(メタPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)
  • 未知のCSAMや人工知能(AI)が生成したCSAMを検出する視覚安全技術を構築・実装、未成年者が搾取や恐喝をする人物と連絡を取っている場合の検出機能の構築など(ディスコードPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)

このほか、公聴会では議員から、オンライン上の性的搾取から子供を守る各社の取り組みが不十分だったとして、SNS規制法案への協力を迫る意見や、「通信品位法230条」(注2)の規定により、現状としては、その責任を企業に負わせることがほぼ不可能なため、同規定の廃止を求める意見も上がった(CNN1月31日)。

バイデン政権はメンタルヘルスの危機に取り組むことを最優先課題としており、子供のプライバシー、健康、安全の保護を強化する法案を可決するよう議会に求め続けている。

(注1)児童の性的虐待コンテンツ(CSAM)

(注2)各社のプラットフォーム上に有害なコンテンツがあったとしても、利用者の投稿内容に関してSNS運営会社の免責事項を定めた法律。同条項に関し、テック企業やデジタル著作権団体は、インターネットが機能するためには不可欠なものだと擁護しているものの、共和党と民主党の双方から長年批判されている。

(樫葉さくら)

(米国)

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