運輸省、MRT3号線とLRT2号線の入札方針を発表

(フィリピン)

マニラ発

2024年02月02日

フィリピン運輸省はMRT3号線(注1)とLRT2号線(注2)の運営・保守契約に関する入札を2024年後半までに開始する予定と発表した(「マニラ・タイムズ」紙1月10日)。

MRT3号線は現在、民間のメトロ・レール・トランジット(MRTC)が運営・保守を行っているが、2025年に同社との建設・リース・譲渡(BLT)契約が満了になる。政府は契約満了後の運営・保守について民間に委託する方針を発表しており、大手財閥サンミゲル・コーポレーションやメトロ・パシフィック・インベストメンツなどが既に今後の民間運営・保守について非公募提案を提出している。しかし、ハイメ・バウティスタ運輸相は、民間からの非公募提案ではなく、運輸省の定める契約条件に基づく政府主導型の入札プロセス(注3)が好ましいと強調した(「インクワイアラー」紙2024年1月10日)。これを受け、運輸省のティモシー・バタン次官は現在未承認の同2社の提案について「1カ月以内に決定を通知する」と述べているが、それらは近くに破棄される見通しだ。

バタン次官によると、運輸省はLRT2号線とMRT3号線の運営・保守の民営化を一本化し、官民連携プロジェクトとして政府主導で入札を行うことを計画している。また、運輸省は、契約の一元化に向けたアドバイザーとして、MRT3号線にはアジア開発銀行(ADB)、LRT2号線には国際金融公社(IFC)をそれぞれ指名したことを発表した。

(注1)Metro Rail Transit(MRT)3号線は、ノースアベニュー駅(ケソン市)から タフトアベニュー駅(パサイ市)をつなぐ電車。2000年7月に全線開通した。

(注2)Light Rail Transit(LRT)2号線は、レクト駅(マニラ市)からアンティポロ駅(マリキナ市)を東西につなぐ電車。2003年4月から順次営業を開始し、2004年10月にレクト駅から当初の東端サントーラン駅までが開通。2021年に東側をアンティポロ駅まで延伸した。

(注3)政府主導型の入札では、政府が契約条件を提示した上で民間企業を複数選定し、民間企業はその条件に基づいて提案する。非公募入札の場合、民間企業が独自の条件を提案することができる。

(西岡絵里奈、アセンシオ・アシュレイモイラ)

(フィリピン)

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