2023年の実質GDP成長率速報値は3.1%、第4四半期に減速

(メキシコ)

メキシコ発

2024年02月02日

メキシコの国立統計地理情報院(INEGI)は1月30日、2023年のGDP成長率の速報値を3.1%と発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。第1次産業が2.0%、第2次産業が3.6%、第3次産業が2.9%成長した。第4四半期の成長率は前年同期比2.4%、季節調整済み前期比は0.1%となり、それぞれ第3四半期の3.3%、1.1%と比較すると減速感がみられる。

第4四半期の成長率を産業別にみると、第1次産業が前年同期比0.3%、季節調整済み前期比マイナス1.1%、第2次産業がそれぞれ3.1%、0.0%、第3次産業が2.2%、0.1%となった。第1次産業の不振は、寒波の影響による農作物の不作が影響した。第2次産業はアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(AMLO)政権の終了(2024年9月末)までに大統領が約束した公共事業を完了させる目的の駆け込み需要が奏功し、建設業が好調に推移したが、逆に製造業は行き過ぎた通貨ペソ高の影響で低迷した。実際、11月までの鉱工業生産指数をみると、建設業の前年同月比成長率は10月に28.1%、11月に18.0%と好調だが、製造業はそれぞれ1.1%、マイナス0.3%と低迷している。製造業のうち、輸送機器製造業や電子・情報通信機器、輸送機器などは好調に推移しているが、これらを除く業種の生産は低迷している。製造業21業種のうち、10月に前年同期比プラス成長だったのは7業種、11月はわずか4業種にとどまっており、明らかな減速感がみられる。

民間シンクタンクの2024年の成長率見通し平均は2.37%

メキシコ中央銀行が2024年1月に内外民間シンクタンク37機関に対して実施したアンケート調査(2月1日発表)PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、2024年の実質GDP成長率見通しの平均値は2.37%となり、2023年よりもさらに減速することを見込んでいる。インフレ率の見通し平均値は4.13%となり、中央銀行の目標(3±1%)をわずかに上回る水準を見込んでいる。2024年末時点の対ドル為替レートの見通し平均値は1ドル=18.38ペソで、足元の17ペソ台前半からはペソ安に進むとみている。ただし、前月時点の見通しが18.52ペソだったことを考えると、足元のインフレ率の高止まりを考慮し、中銀による政策金利の引き下げが緩やかな範囲にとどまることを想定している。

民間シンクタンクが2024年1月時点でメキシコの経済成長を阻害する3大要因として挙げた要因は、「治安の問題」(22%)、「構造改革の欠如」(11%)、「国内政治不安」(10%)、「法の支配の欠如」(8%)の順で多くなっており、経済成長を阻害する要因として、引き続き現政権の統治に関連する問題を指摘する声が多い。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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