第4四半期のGDP成長率は3.0%、2023年通年では3.7%、いずれも事前予想を下回る
(マレーシア)
クアラルンプール発
2024年02月28日
マレーシア中央銀行と統計局は2月16日、2023年第4四半期(10~12月)の実質GDPが前年同期比3.0%増だったと発表した。統計局が2024年1月19日に発表したGDP推計(速報値)の成長率3.4%を下回り、前期(3.3%)からも減速した。とりわけ12月の経済活動減速が影響したと中銀は指摘した。第4四半期のうち、10月と11月には4%近い成長率を記録したのに対し、12月は1.4%にとどまった。
需要項目別にみると、GDPの6割弱を占める個人消費の成長率は4.2%だった。前期の4.6%から伸びが鈍化したが、継続的な家計支出に支えられ、引き続き経済を牽引した。民間投資も4.0%(前期4.5%)とやや減速した一方、政府消費が7.3%(前期5.8%)、公共投資が11.3%(前期7.5%)といずれも伸びが拡大した。純輸出は、外需の低迷が長引く中、前期のマイナス22.7%からマイナス35.6%とさらに落ち込んだ(添付資料表1、図参照)。
産業別では、製造業以外の産業がプラス成長を記録した(添付資料表2参照)。GDPの6割弱を占めるサービス業が4.2%となり、前期の5.0%からは減速した。中銀によると、観光活動の回復が続く一方、金融および保険の縮小が経済成長を妨げた。また、建設業も3.6%(前期7.2%)と減速した。非住宅建設活動の低下による影響を受けたとみられる。農業は、労働力不足の改善によりパーム油の生産量が増加したことから、前期の0.9%から1.9%に加速した。鉱業・採石も、天然ガスおよび原油の生産量増加により、前期のマイナス0.1%から3.8%へとプラスに転じた。一方、製造業がマイナス0.3%と前期のマイナス0.1%からさらに減少幅が拡大した。半導体産業のダウンサイクル(下降局面)により、電子部品、通信機器、家電の生産低迷が引き続き影響したとみられる。
2024年の経済成長率は楽観的な見通し
2023年通年の実質経済(GDP)成長率は3.7%となり、2024年国家予算案発表時に提示した4.0%、およびGDP推計(速報値)の3.8%を下回った。2022年の成長率8.7%と比較して、大きく減速した。世界貿易の低迷、半導体産業のダウンサイクル、地政学的な不確実性、金融政策の引き締めなどの要因が経済成長の減速に影響したと中銀は指摘した。2024年通年の経済成長見通しについて、中銀は2023年10月に示した4.0~5.0%の予測値を据え置くかどうかを明示していないものの、「堅調な個人消費と外需の回復により改善する」と明るい見通しを示した。同様に、マレーシア工業開発銀行(MIDF)研究所やユナイテッド・オーバーシーズ銀行の研究所(UOBリサーチ)も、2024年通年の経済成長見通しをそれぞれ4.7%、4.6%と予測している。
(エスター頼敏寧)
(マレーシア)
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