事業コスト増加や人材確保などが課題、在香港日系企業アンケート調査

(香港)

香港発

2024年02月02日

ジェトロは在香港日本総領事館、香港日本人商工会議所と共同で、在香港日系企業などを対象にした「第13回香港を取り巻くビジネス環境にかかるアンケート調査」を実施した(調査期間は1月10~16日、調査結果は添付資料参照)。調査結果の主なポイントは次のとおり。

DI値は2022年上半期から4期連続のマイナス、2024年上半期のDI見込み値もマイナス予想

2023年下半期のDI値(注)は、2023年上半期と比較すると、5.1ポイント改善のマイナス9.7となり、2022年上半期以来、4期連続でマイナスとなった。2024年上半期のDI値(見込み値)は、世界的な需要や中国景気の回復に伴う輸出回復が限定的との見通しに加え、期待された香港域内内需も力強さに欠けることから、マイナス8.3にとどまった(添付資料6ページ参照)。

香港のビジネス環境悪化は、事業コスト増加と人材確保の困難さが要因

1年前と比較した香港のビジネス環境について、約半数が「変わらない」と回答したものの、「悪化した」との回答が増加し、「改善した」とする回答は減少した。項目別にみると、事業コストの増加や人材確保の困難さが要因のようだ。過去半年間に従業員の離職や人材流出があったと回答した企業は28.2%(60社)、うち63.3%が「代替人材を確保できていない」と回答した。

物流コスト上昇、輸出入量減少、香港迂回した貿易の定着懸念

新型コロナウイルス感染前と比べた物流環境評価では、「コストが上昇した」との回答で、(1)輸送コスト(62.2%)、(2)人件費(59.5%)、(3)倉庫料(37.8%)などが増加した。中国市場や世界経済の停滞の影響で、香港を経由する貿易の輸出入量が減少しており、香港を迂回した貿易形態が定着しているとの見方が増えた(前回調査:27.5%→46.9%)。

顧客・取引先との往来回復、中国ビザ取得などが障害に

新型コロナ前と比較して、顧客・取引先との往来が「平常時と同程度まで回復した」との回答が42.1%、「回復していない」「回復しているが不十分」が39.7%に上った。人の往来が回復していない理由では、「中国本土を含めた往来困難(中国ビザの取得)」「オンライン会議での代替」「香港のネガティブなイメージ」「香港の優先度が相対的に低下」「渡航・滞在費の高騰」などが挙げられた。

(注)DI値はDiffusion Indexの略で、「改善」と回答した企業の割合から「悪化」「大幅悪化」とした企業の割合を差し引いた数。

(松浦広子)

(香港)

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