ジェトロ、スコットランドのグリーン分野における投資・進出セミナー開催

(英国)

ロンドン発

2024年02月14日

ジェトロは2月9日、「スコットランド・グリーン投資・進出セミナー」を開催した。現地投資誘致機関、日系企業2社が同地域のビジネス環境や魅力について解説した。同地域については、洋上風力発電や水素などグリーン関連分野で関心が高まっている。

まず、ジェトロ・ロンドン事務所の菅野真所員が、英国およびスコットランドのエネルギー政策概要について解説。スコットランドが独自の脱炭素目標を有しており、純排出ゼロ(ネットゼロ)目標についても2045年と、英国全体の目標に対して野心的なものを設定していることを紹介した。

続いて、スコットランド国際開発庁(SDI)のステファン・ベングトソン日本代表、登坂咲代子上席投資担当官が、同地域のビジネス環境や、グリーンエネルギー分野での日本企業の機会について解説した。ベングトソン氏は、同地域周辺の北海の風況を生かし、洋上風力発電のプロジェクトに多くの企業が参画していること、またクリーン電力を利用したグリーン水素の製造プロジェクトの存在など、大きなポテンシャルがあることを紹介した。登坂氏は、同地域での日本企業の機会に言及。洋上風力分野に関しては下部構造、アンカー・係留、ダイナミックケーブル・変電所などの技術、水素分野では電解槽へのニーズが特に高いと述べた。

その後、日系企業によるパネルディスカッションを実施。東京電力リニューアブルパワーが2022年11月に買収、子会社化したフローテーションエナジーCOOの藤城透氏、千代田化工建設オランダ社長の池田修氏が登壇し、各社の事業や、スコットランド進出の経緯や同地域の優位性、現在のグリーン関連ビジネスを取り巻く経済環境などについて紹介した。

藤城氏、池田氏ともに、英国政府やスコットランド自治政府のコミットメント、制度面が整っていることなどを魅力として挙げたほか、伝統的な産業の石油・ガス産業で培った人材・ノウハウが強みと述べた。

また、藤城氏は、洋上風力分野において現在同地域で進行している大規模案件が実現すれば、世界的にも先進的な地域になるとして、同地域で得た知見を世界に展開することで今後の事業機会の拡大につながるとした。池田氏は、同地域のグリーン水素、また炭素回収・有効利用・貯留(CCUS)を利用したブルー水素のプロジェクトのポテンシャルも大きいとした。

写真 (左上から時計回りに)スコットランド国際開発庁のベングトソン日本代表、スコットランド国際開発庁の登坂上席投資担当官、ジェトロ・ロンドン事務所の菅野真所員、千代田化工建設オランダの池田社長、フローテーションエナジーの藤城COO(ジェトロ撮影)

登壇者(ジェトロ撮影)

(山田恭之、菅野真)

(英国)

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