ジェトロ、日中新エネルギー自動車ハッカソンイベント開催

ジェトロは1月、在上海日本総領事館と共催で、8日間にわたり「日中新エネルギー自動車ハッカソンイベント」を開催した。中国の自動車市場で新エネルギー車の販売台数が拡大する中、グリーン経済分野での日中協力を後押しし、日系自動車関連部品メーカーの販路拡大を支援することを目的とした。また、今回のイベントでは、中資系企業が新エネ車の開発や生産での課題やニーズを事前に共有し、日系企業がそれに対する解決案を提案するハッカソン形式（注）で実施した。これにより、技術力を互いにアピールすると同時に、日系企業が中資系企業のニーズ、開発スピード、嗜好（しこう）を理解し、具体的なビジネス機会の醸成につなげることも目的としている。

中資系企業は、完成車メーカーの哪吒汽車、北京汽車、長城汽車、ワイヤー制御シャーシ製造のベンチャー企業LeeKr Technologyの4社と、中国に進出する日系自動車部品メーカー31社が参加した。参加した日系企業からは、「調達や営業担当だけではなく、技術者も交えた交流を行えたことで、製品に対する要求や論点が明確になり、具体的なビジネス醸成につながった」などの声があった。イベント終了後は、より詳細な製品製造交流を行うため、企業訪問や秘密保持契約を締結してさらなる交流を深める企業もあった。

中国の新エネ車市場では、中資系メーカーの競争力が高く、2023年では市場の約85％を中資系メーカーが占めた。また、新エネ車の中国からの輸出は2023年では前年比72％増加しており、世界での中資系メーカーの存在感は大きい。そういった中資系企業との取引拡大は、中国市場のみならず、世界の各国市場でも今後重要になることが見込まれる。

（注）ハッカソン（Hackathon）とは、ハック（Hack）とマラソン（Marathon）を掛け合わせた造語。与えられたテーマに対し、それぞれの技術やアイデアを短期間で先方の要求に合わせたかたちで製品やシステム、アプリケーションなどを開発・提案するイベント。

（神野可奈子）