バイデン米大統領、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸の安定を脅かす行為に関与する者へ制裁を科す大統領令を発表

(米国、イスラエル)

ニューヨーク発

2024年02月02日

米国のジョー・バイデン大統領は2月1日、パレスチナ自治区のヨルダン川西岸の平和、安全、安定を脅かす行為に直接的、間接的に関与している人物に対して制裁を科す大統領令外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。ヨルダン川西岸で過激派入植者などによる暴力が耐え難い水準に達し、同地区やガザ地区、イスラエルの平和、安全、安定に対する深刻な脅威となっており、米国の外交政策目標を損なう状況にあることが理由としている。

この大統領令を受け、国務省は同日、制裁対象者を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。制裁対象となったのは、暴動を指揮したり、パレスチナ人やイスラエル人に暴行したり、暴力を振るう入植者グループを率いる合計4人の個人だ(注1)。これら4人は、金融制裁の対象である「特別指定国民(SDN)」に指定され、制裁対象となった個人の米国内にある、あるいは米国人(注2)が所有または管理する資産は全て凍結される。制裁対象が直接または間接的に50%以上所有する事業体などの資産も凍結される。さらに、米国人との資金・物品・サービスの取引禁止も科される。これら4人は、金融制裁に加え、2011年7月に発表された大統領布告に基づき、米国への入国も禁止される。国務省は2023年12月に、ヨルダン川西岸地区の平和を損なう行為に関与する個人を対象としたビザ制限政策を実施すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしていた。

今回の制裁発動を受け、ジェイク・サリバン大統領補佐官(安全保障担当)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますアントニー・ブリンケン国務長官外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、イスラエルやパレスチナの安定を脅かす行為に断固反対する旨の声明を発表した。

米国はイスラム原理主義組織ハマスが2023年10月にイスラエルを攻撃して以降、本大統領令前に5回の制裁を発動している(2024年1月25日記事参照)。

(注1)制裁対象に指定されている個人・事業体などについては、財務省外国資産管理室(OFAC)のデータベース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで確認可能。

(注2)米国市民、米国永住者、米国の法律に基づく、もしくは司法権が及ぶ域内に存在する法人(外国支所も含む)、もしくは米国内に存在するあらゆる個人を指す

(赤平大寿)

(米国、イスラエル)

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