ジェトロ、ラトビア投資開発庁、在日ラトビア大使館とビジネスフォーラム開催

(ラトビア、日本)

調査部欧州課

2024年02月21日

ジェトロは28日、ラトビア投資開発庁(LIAA)、在日ラトビア大使館との共催で、同国のクリシュヤーニス・カリンシュ外相の訪日に際して「日本・ラトビア・ビジネスフォーラム『The Future of Business Growth』」を開催した。日本企業など約30社が参加した。ラトビアのビジネス環境についてのセミナーの後、両国企業間のネットワーキングが行われた。

片岡進ジェトロ副理事長は冒頭のあいさつで、エネルギーや物流・インフラ、情報通信技術(ICT)分野での近年の両国間の投資、協業事例を紹介。バルト3国からポーランドまで鉄道で接続させるレール・バルティカプロジェクト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、日本企業にとって今後、物流・インフラ分野の大きな投資機会になるとした。

写真 片岡副理事長の冒頭あいさつ(ジェトロ撮影)

片岡副理事長の冒頭あいさつ(ジェトロ撮影)

カリンシュ外相はスピーチで、1991年に旧ソ連から独立回復したラトビアでは、革新的でハングリーな精神を持つ人々によるさまざまなアイディアからビジネスが生まれているとアピールした。また、ロシアのウクライナ侵攻を受け、ラトビアは輸出入市場のさらなる多様化を図っており、政府としても日本との経済関係を発展させたいと期待を込めた。

写真 カリンシュ外相のスピーチ(ジェトロ撮影)

カリンシュ外相のスピーチ(ジェトロ撮影)

LIAAのラウラ・シュトロバルデ投資・エネルギー担当副長官は「ラトビアと日本のビジネスコネクション」と題した講演で、イノベーティブでデジタル化が進んだ北欧のEU加盟国として、同国の優位性を紹介した。

写真 シュトロバルデ副長官の講演(ジェトロ撮影)

シュトロバルデ副長官の講演(ジェトロ撮影)

米国のシンクタンク「タックス・ファンデーション」が2023年10月に発表した国際税務競争力指数で、ラトビアはOECD加盟38カ国中2位、同指数の法人税率部門では1位外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますとなった。ラトビアでは、法人所得を自社事業に再投資する場合、法人所得税は非課税となる。

ラトビア政府は5つの主要セクターとして、(1)生物医学、医療技術、薬学、(2)フォトニクス(光工学)、スマート材料、技術工学、(3)スマートエネルギー、モビリティー、(4)ICT、スマートシティー、(5)知識集約型のバイオエコノミーを定め、さまざまな優遇サービスでこれら分野をサポートしている。

洋上風力発電や水素バレーのプロジェクト進行

5つのセクターのうちスマートエネルギーについて、シュトロバルデ副長官は、ラトビアとエストニアが共同で進めるバルト海の洋上風力発電プロジェクト「エルウインド(ELWIND)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を紹介し、洋上風力発電は環境面でもエネルギー安全保障の面でもよい手段だとした。

また、副長官は欧州初の国境を越えた大規模な水素バレープロジェクト「BalticSeaH2外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を紹介。同プロジェクトはフィンランド南部とエストニアにわたって設置が計画されており、ラトビアを含めたバルト海地域の9カ国から40の企業・団体がパートナーとして参加している。副長官は、発電から運搬までのバリューチェーンをカバーするこのプロジェクトに関心がある企業があれば、声がけしてほしいと参加者に呼びかけた。

その後、ID検証ソリューションや、木質バイオマス発電、航空機の製造などさまざまな事業に携わるラトビア企業5社がプレゼンを行い、日本の企業・団体に協業や投資を呼びかけた。

(森友梨)

(ラトビア、日本)

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