統合型リゾートのマリーナベイ・サンズ、拡張工事を開始へ

(シンガポール)

シンガポール発

2024年02月05日

シンガポール都市再開発庁(URA)はこのほど、国内に2カ所あるカジノを併設する統合型リゾート(IR)の1つであるマリーナベイ・サンズ(MBS)が隣接する土地で新棟を設置する計画の建設を承認した。

URAが1月26日に公表した不動産データ(Realis、注)によると、MBSが新しく建設する棟は、客室数587室のホテルと、総床面積1万2,185平方メートルの小売りスペースなどからなる。MBSは2019年4月に新棟の建設を発表し、ホテルについては約1,000室と発表した(2019年4月8日記事参照)が、新型コロナ禍により工事を延期していた。その後、同社は2023年3月にシンガポール観光庁(STB)と、拡張工事の開始期限を2024年4月8日、工事完成の期限を2028年4月8日とすることで合意していた。

MBSが拡張工事を行う背景には、MBSとリゾート・ワールド・セントーサ(RWS)の2つのIRの独占保証期間を2030年末まで延長する条件として、当該拡張工事が課されているからだ。独占保証期間中は、MBSとRWS以外のカジノ事業者の参入は認められない。URAはRWSについて、2023年第3四半期に拡張工事を承認していた。RWSは同国南部セントーサ島にある同社施設内に、客室数700室のホテルと総床面積2万1,243平方メートルの小売りスペースを新設する計画だ。

MBSの2023年第4四半期決算、外国人来訪者回復で純売上高が55.6%増

MBSを運営する米国のラスベガス・サンズ(LVS)は2024年1月24日、MBSの2023年第4四半期(9~12月)の純売上高が10億6,100万米ドルで、前年同期比55.6%増加したと発表した。このうち、カジノからの売上高が7億4,100万米ドルと、84.3%の大幅増だった。同期の客室稼働率は、94.4%に達した。LVSはMBSの決算が好調だったことについて、「客室の改修とサービスの改善を進めたとともに、(シンガポールへの)航空旅客数の回復により中国や周辺国からの観光支出が拡大している」と指摘した。

(注)Realis外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは、URAの商業・住宅物件に関する統計などの有料のデータベース。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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