フン・マネット首相、「プレア・シアヌーク州投資促進特別プログラム2024」発表

(カンボジア)

プノンペン発

2024年02月13日

カンボジア政府は1月31日、プレア・シアヌークビル州(シアヌークビル)への投資誘致を促進することを目的とした「プレア・シアヌーク州投資促進特別プログラム2024」(添付資料参照)の発表式典を開催した。フン・マネット首相やオーン・ポーンモニロット副首相兼経済財政相兼経済金融政策委員長らが出席し、同プログラムの内容や実施に至った背景などを説明した。

シアヌークビルは、カンボジア南西部の海沿いに位置し、深海港、空港、高速道路などの主要インフラの整備が進む都市だ。立地の利便性から、新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)禍以前は中国を中心とした不動産投資が集中し、コンドミニアムやオフィスビルなど大型物件の建設ラッシュに沸いていた。建設されたマンションや施設は当時合法とされていたオンラインカジノの拠点としても活用され、カジノを目当てとした中国人観光客やオンラインカジノオペレーターを中心ににぎわっていた。「クメール・タイムズ」紙(2020年6月10日)によると、新型コロナ流行前、シアヌークビルの人口の半分が中国人だったといわれている。

しかし、2020年1月、治安の悪化などを理由に、カンボジア政府はオンラインカジノを禁止した。これをきっかけに、多くの投資家が一斉にシアヌークビルから撤退し、新型コロナ禍を経た今も投資家はほとんど戻っていない。この状況に危機感を持った政府は、当該地域に特化したインセンティブなどを盛り込んだ「プレア・シアヌーク州投資促進特別プログラム2024」を策定した。

フン・マネット首相はプログラムの発表式典で「シアヌークビルに建築途上で残された建物が362棟存在する。今回のプログラムでは、これら未完成の建物を完成させて活用することを目的とした投資への税制優遇に加え、それ以外でもシアヌークビルを活性化することにつながる事業への税制優遇などを付与する」と述べ、国内外の投資家に当該地域への投資を呼びかけた。

シアヌークビルには、国際協力機構(JICA)が支援して整備されたカンボジア唯一の深海港があり、同国で取り扱われる貨物の6~7割は同港を経由する。貿易量の増加に伴い、2026年完成を目指した拡張工事が行われているほか、カンボジアで唯一の多機能保税物流倉庫(イオンモールカンボジアロジプラス)も同港に隣接している。

写真 式典でスピーチするフン・マネット首相(ジェトロ撮影)

式典でスピーチするフン・マネット首相(ジェトロ撮影)

(ニティー・ヘン)

(カンボジア)

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