2023年の貿易、鉱物製品の輸出減で貿易黒字が縮小

(ロシア)

調査部欧州課

2024年02月26日

連邦税関局によると、2023年のロシアの輸出は前年比1,674億ドル(28.3%)減の4,251億ドル、輸入は298億ドル(11.7%)増の2,851億ドルで、1,400億ドルの貿易黒字だった。主要輸出品目の鉱物製品の輸出額が3割減となったほか、輸入が増加し、貿易黒字は前年の3,372億ドルから縮小した。

輸出を地域別でみると、アジアが全体の72.1%を占めた(前年は49.0%)。エネルギー資源の輸出が大幅に減少した欧州向けは、前年を24.8ポイント下回る20.0%だった(添付資料図1参照)。しかし、アジア向け輸出額は前年比162億ドル(5.6%)増と微増にとどまり、欧州向けの減少(1,807億ドル、68.0%減)を補うには至らなかった。品目別では、例年と同様、鉱物製品、金属・同製品、食料品・農産品が上位を占めた。食料品・農産品は品目別で唯一、金額ベースで前年比増となった(添付資料図2参照)。

輸入の地域別比率は、アジアが65.8%(1,875億ドル、前年比29.2%増)を占め最大の貿易相手地域となった。欧州のシェアは27.5%で、前年より7.6ポイント減少した。制裁対象外である医薬品、一部の機械設備の輸入が続いている。アジアからの輸入額が29.2%増、欧州からが12.3%減だった。

品目別では、輸出は鉱物製品が全体の61.2%、輸入は機械・設備・輸送用機器が51.1%を占めた。輸出入品目構成はこれまでと大きく変わるところはなく、ロシアの貿易構造は基本的に資源を輸出し機械類を輸入するかたちが2023年も見られた。

ロシア政府は、機械設備や部品・原材料の国産化(輸入代替)やそれを通じた非資源・非エネルギー製品の輸出を目指している。産業商務省の発表によると、2023年の非資源・非エネルギー関連輸出は前年比23%減の1,463億ドルだった。2024年2月14日にモスクワで開催された産業関連会議の席上、デニス・マントゥロフ副首相兼産業商務相は、アジア、中東、アフリカ、中南米への輸出を強化することで非資源・非エネルギー製品の輸出増につなげる考えを示した(インターファクス通信2024年2月14日)。

連邦税関局は2022年以降、国別、HSコード4桁以下の分類など、貿易統計の詳細を公表していない。

(欧州課)

(ロシア)

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