日本旅行、国内観光業へのインド人材活用を本格化

(インド、日本)

調査部アジア大洋州課

2024年02月01日

日本旅行(本社:東京都中央区)は1月18日、インド国家技能開発公社(NSDC)傘下のNSDCインターナショナル(NSDCI)とパートナーシップ協定を締結し、日本の観光産業における人材不足への対応の一環として、インドの若者への就労機会を提供していくと発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。

日本国内では、新型コロナウイルス禍後のインバウンドの再興に起因し、観光・宿泊業での人手不足が深刻化している。同社は、今回のパートナーシップを通じたインド人材の活用により、地方の旅館などの人材不足解消に貢献したい考えだ。

同社事業共創推進本部の馬場直樹氏は「シンガポール駐在などを経験し、アジア各国の人材を見てきたが、インド人材は労働力として非常に優秀だ。また、日本は安全で清潔といったイメージが先行しており、インド人材にとっても魅力的な雇用環境として映っている」とコメントした(1月24日ジェトロ取材)。

インド人材活用に向けた課題としては、言語の壁のほか、インド国内の多くのホテルで業務分担が縦割りの一方、日本の旅館はマルチタスクなことから、満遍なくスキルを磨いてもらうことが重要と語った。こうした背景から、同社はNSDCIと連携したインド国内のトレーニングセンターで、日本語教育や職業訓練といった各種研修を訪日前に行うことで、インド人材の活躍をさらに後押ししたいとしている。

写真 NSDCIのトレーニングセンターの様子(日本旅行提供)

NSDCIのトレーニングセンターの様子(日本旅行提供)

今後の取り組みについては、「日本の旅館は業務の標準化が遅れており、生産性が低いとされてきた。このパートナーシップは、単に人員補填(ほてん)としてだけでなく、観光産業全体の効率化に向けた好機として取り組んでいきたい」と意気込みを語った。

(深津佑野)

(インド、日本)

ビジネス短信 37e182f614faa4cb