中国の一線都市、住宅購入制限を相次ぎ緩和

(中国)

広州発

2024年02月21日

中国の一線都市(注1)では、住宅購入規制を緩和する動きが広がっている。広東省深セン市住宅建設局は2月7日、住宅需要を最適化し、不動産市場の安定した発展を促進する措置として、同市内の住宅購入規制の緩和措置を次のとおり発表し、同日から実施した。

(1)深セン市の戸籍を持つ2人以上の世帯(世帯構成員の一部が深セン市の戸籍を持つ世帯を含む)は住宅2軒、深セン市の戸籍を持つ単身世帯(離婚者を含む)は住宅1軒の購入を認める。住宅購入規制として従来設けていた深セン市内での一定期間以上の在住年数や個人所得税、または社会保険料の納付期間といった条件を撤廃する。

(2)深セン市以外の戸籍を持つ2人以上の世帯と単身世帯に対しても、同市の個人所得税または社会保険料の納付期間が3年以上という条件を満たせば、住宅1軒の購入を認める。従来の条件の納付期間5年以上から期間を短縮した。

広東省広州市政府も1月27日、住宅購入規制の一部を緩和すると発表した。同市の住宅購入規制が敷かれている地域で、延べ床面積が120平方メートルを超える住宅を購入規制対象から除外した。規制地域に既に保有している住宅を賃貸あるいは販売に出した場合、当該住宅は世帯の保有住宅数にはカウントせず、新たな住宅の購入を認めるなどの内容も含んでいる。また、2024年には、低所得者向け住宅の「保障性住宅」を分譲用として1万戸、賃貸用として10万戸それぞれ建設する計画とし、賃貸住宅への補助金を1万8,000戸に支給すると発表した。

ほかにも、北京市住宅都市農村建設委員会と北京市通州区政府は2月6日、通州区での住宅購入条件緩和措置を発表した。北京市に戸籍を持つが住宅を持たない世帯、北京市内に住宅1戸を持つ通州区戸籍の世帯、北京市内に戸籍も住宅も持たないが、通州区内の企業や団体の勤務者という世帯などに、通州区で住宅1軒の購入を認める。また、上海市住宅管理局弁公室は1月30日、上海市以外の戸籍を持つ世帯に対し、同市で個人所得税または社会保険料の納付期間が5年以上という条件を満たせば、上海市外環状線(注2)の外側(崇明区を除く)の地域で住宅1軒(新築、中古を含む)の購入を認めた。

地元メディアでは、こういった各主要都市での不動産関連のてこ入れ政策を通じ、春節(旧正月)後の不動産市場の持ち直しと、不動産市場の回復を期待できると報道した(「証券時報」、2月7日)。

(注1)全国的な政治・経済活動などの社会活動で重要な地位にあり、指導的役割を備え、波及力・牽引力をもった大都市を指す。一般的に北京市、上海市、広州市、深セン市が該当する(2023年6月8日記事参照)。

(注2)上海市の中心部を囲む環状高速道路。起点は上海市宝山区の同済路インターチェンジ、全長99キロ。

(高文寧)

(中国)

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