財務省、屋根置き型太陽光パネル設置1,000万戸への補助金拡大

(インド)

ムンバイ発

2024年02月15日

インド財務省が21日に発表した暫定予算案に、屋根置き型太陽光パネルを1,000万戸の住宅に設置するための補助金拡大が盛り込まれた。ナレンドラ・モディ首相が1月に掲げた設置目標に合わせた予算措置で、1,000億ルピー(約1,800億円、1ルピー=約1.8円)を割り当てる。

ニルマラ・シタラマン財務相は暫定予算案演説で、屋根置き型太陽光パネルを設置すれば、毎月300キロワット(kW)を無料で得られ、余剰電力の販売を加味すると、年間最大18,000ルピーの貯蓄が可能になると語った。

地元メディアによると、RK・シン新・再生可能エネルギー相は22日に目標を達成する具体策として、屋根置き型太陽光パネル設置に対する補助率を現在の40%から60%に引き上げたいとの見解を示した(「ミント」22日)。また、経済発展の遅れている北東部や丘陵地帯の州では、補助率を70%に設定したいと説明した(「エコノミック・タイムズ」22日)。

補助金で賄えない残りの40%もしくは30%の費用については、各州の中央公共企業体(CPSE)が設立する特別目的会社(SPV)の融資を受けられる。融資は余剰電力の売電によって返済するという。融資は10年程度で完済できる計算で、その後の太陽光パネルの所有権は設置者個人に移る。シタラマン財務相は暫定予算案の演説で、家計への恩恵だけでなく、電気自動車(EV)の充電などが可能になると述べている。

モディ首相はこれに先立ち、122日の北部ウッタル・プラデシュ州アヨーディヤで開催されたヒンドゥー教ラマ寺院の再建行事に合わせ、1,000万世帯への屋根置き型太陽光パネル設置を目標とした「プラダンマントリ・スリョダヤ・ヨジャナ(首相の日の出構想)」を発表していた。

また、政府は、2030年までに再生可能エネルギーによる発電容量を500ギガワット(GW)に引き上げ、総電力の少なくとも5割を再生可能エネルギーで賄うという目標を設定している。202312月末時点で導入している再生可能エネルギーの発電容量は180.8GW、そのうち太陽光は73.3GW4割に上る。一方、その大半は大規模な太陽光発電施設が占め、送電網に接続された屋根置き型太陽光パネルによる発電容量は11.1GWにすぎず、導入拡大の余地がある。新たな構想には、再生可能エネルギーの利用拡大と低中所得者層の所得向上を同時に進め、包括的なインドの発展を目指す狙いがある。

(丸山春花)

(インド)

ビジネス短信 2cff00b1ee427168