全米のトウモロコシ生産者、自動車燃費規制案の見直しを求めバイデン大統領に書簡を提出

(米国)

ニューヨーク発

2024年02月14日

全米のトウモロコシ生産者3,466人は2月7日、ジョー・バイデン大統領に対し企業間燃費基準(CAFE基準)値を含む規制案見直しを求める書簡を提出PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。この規制案は、2027年から2032年モデルまでの乗用車および小型トラックと、2030年から2035年モデルまでの大型ピックアップトラックおよびバン(HDPUV、注1)を対象として、2023年7月に米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)が発表したものだ(2023年8月1日記事参照)。

CAFE基準値を含む規制案は、乗用車と小型トラックの2032年モデルの燃費基準値について、1ガロン当たり57.8マイル(57.8mpg)(1ガロン=約3.8リットル、1マイル=約1.6キロ)、HDPUVの燃費基準値は、2035年モデルで100マイル当たり2.638ガロン(注2)と定めている。現在、NHTSAで最終規制の策定が行われているところだが、いずれもメーカーにとっては厳しい基準値であり、達成には大幅な電気自動車(EV)の導入を前提としているとして、関係者からは見直しを求める声が上がっている。

今回の書簡では、EV用充電器不足、極度の寒波による充電の困難さなどEVの課題を挙げ、消費者はまだEV技術採用に積極的ではないと主張。「われわれが気候変動に取り組み、持続可能性の目標を達成しようとしているのであれば、気候変動を即座に解決可能なトウモロコシ・エタノールなどのバイオ燃料の利用を含む、多角的なアプローチを取る必要がある」と訴えた。トウモロコシ由来のエタノールは、自動車などからの二酸化炭素(CO2)排出量削減のため、ガソリンやディーゼルに混合するバイオ燃料の原料として注目されている。

環境規制を巡っては2023年11月と2024年1月に、いずれも4,000店以上の自動車販売店がバイデン大統領に対し、バッテリー式電気自動車(BEV)の在庫が積み上がる現状を危惧し、EV販売を前提とする温室効果ガス(GHG)規制の緩和を求める書簡を提出(2023年4月21日記事参照)。急激なEV化を求める政策を見直すよう求めている。

(注1)車両総重量が8,501 ポンド以上、1万4,000ポンド以下の車両。

(注2)HDPUVの燃費基準は、直接消費される燃料を測定して得られた、100マイル当たりのガロン数を用いる。

(大原典子)

(米国)

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