サムスン電子の2023年業績、半導体部門で営業損失

韓国のサムスン電子は1月31日、2023年第4四半期（10～12月）と2023年通年の業績（連結ベース）を発表した。2023年第4四半期の売上高は前年同期比4％減の67兆7,800億ウォン（約7兆4,558億円、1ウォン＝約0.11円）、営業利益は34.6％減の2兆8,200億ウォンの減収減益だった。サムスン電子は「年末商戦で競争が激化したスマートフォンの出荷量は減少したものの、メモリー価格が上昇し、プレミアムディスプレー製品の販売も好調だった」と総括した。

他方、2023年通年の売上高は前年比14％減の258兆9,400億ウォン、営業利益は84.9％減の6兆5,700億ウォンだった。営業利益は、半導体などのDS部門は赤字を計上したものの、DX部門（家電、IT、モバイルなど）、SDC（サムスンディスプレー）、ハーマン・インターナショナルは黒字を計上した（全社と部門別の売上高は添付資料表1、営業利益は添付資料表2参照）。

第4四半期の部門別の業績は次のとおり。

（1）DX（Device eXperience）部門（家電、IT、モバイルなど）

MX（Mobile eXperience：無線通信機器部門）は、新モデルの販売開始効果が減少し、スマートフォン販売が減少した半面、タブレット製品はプレミアム新製品を中心に出荷量が増加し、ウエアラブル製品も2023年末の需要期との関係で販売は堅調だった。

VD（Visual Display）は、テレビ需要の全般的な停滞と競争激化による費用増加で、収益性が小幅に低下した。

生活家電は、システムエアコンを中心にBtoB事業が成長し、プレミアム製品の販売が伸びたものの、需要の減少による競争激化で、業績は伸び悩んだ。

（2）DS（Device Solutions）部門（半導体など）

メモリーは、顧客企業の在庫が正常化する中、コンピュータとモバイル製品のメモリー搭載量が増加し、生成型人工知能（AI）サーバー需要が増加するなど、全般的に需要回復をみせた。HBM（High Bandwidth Memory）、DDR5（Double Data Rate 5）などの高付加価値製品の販売も大幅に拡大した。

システムLSI（大規模集積回路）は、スマートフォンの在庫調整が終わり、部品需要が増加し、当社の主力製品が主要な顧客企業のフラグシップモデルに適用された結果、第3四半期（7～9月）に比べ、売上高・営業利益とも改善した。

ファウンドリーは、顧客企業の在庫調整や世界の景気回復が遅れ、需要が減少し、業績不振が続いた。他方、2023年は年間で過去最大の受注を達成し、将来の成長基盤を築いた。

（3）SDC（サムスンディスプレー）部門

ディスプレーは、中小型パネルは主要顧客企業の新製品に適期対応し、ハイエンド製品の割合を引き上げたことにより、堅調な業績を達成した。大型パネルは景気停滞による需要の不振が続いたものの、年末の需要期のテレビ販売の増加で、売上高が増加し、赤字幅が縮小した。

サムスン電子は業績発表に合わせて、設備投資の実績も発表した。それによると、第4四半期の設備投資総額は16兆4,000億ウォン、内訳は、DS部門14兆9,000億ウォン、ディスプレー8,000億ウォンなどだった。2023年通年では53兆1,000億ウォンの設備投資を行った。

（李海昌）