香港と中国本土の金融当局、金融協力深化に向けた6つの政策公表

(香港、中国)

香港発

2024年02月02日

香港金融管理局(HKMA)と中国人民銀行(PBOC、中央銀行)は1月24日、香港と中国本土間の金融協力を深化させるための政策を次のとおり6つ公表した。

  1. HKMAの人民元流動性ファシリティー(注1)の適格担保リストに、中国本土で発行された国債や中国の政策銀行が発行した政策銀行債を含める。
  2. 中国本土のインターバンク債券市場に既に参加している域外機関投資家〔中国本土と香港間の債券相互取引(ボンド・コネクト)に参加する投資家を含む〕のオンショア・レポ取引(注2)への参加を可能とする。
  3. 広東・香港・マカオグレーターベイエリア(粤港澳大湾区)での「越境理財通(クロスボーダー・ウェルスマネジメント・コネクト)(注3)パイロット・スキームの実施改善を公表する。
  4. 香港・マカオ住民が粤港澳大湾区内の中国本土の住居を購入する際、越境決済を円滑化する措置を実施する。
  5. 域内外の信用状況を照会する業務の協力を推進し、企業の越境資金調達を円滑化する。
  6. 香港でデジタル人民元の越境利用を拡大する。

陳茂波(ポール・チャン)財務長官は今回の措置について「ボンド・コネクトとクロスボーダー・ウェルスマネジメント・コネクトの仕組みを強化し、その内容を充実させるものだ。投資家にとってこれらの制度の魅力を高め、中国本土と香港の金融市場間の相互アクセスを深め、オフショア人民元ビジネスのハブとしての香港の役割をさらに強固なものにするとともに、さまざまな面で香港の居住者や企業にさらなる利便性を提供する」と述べた。

(注1)中国本土外(オフショア)人民元市場での短期的な流動性の逼迫に対処するために、HKMAが2012年に導入した制度。

(注2)レポ取引は、repurchase agreementの略。債券などの有価証券を一定の価格で買い戻し(売り戻し)する条件が付いた売買取引。

(注3)2021年9月に開始された相互投資制度。広東省9市の個人投資家は香港・マカオの投資商品を、香港・マカオの個人投資家は中国本土の投資商品を、それぞれ購入することが可能。

(松浦広子)

(香港、中国)

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