EU理事会、ルーマニアとブルガリアの空路と海路のシェンゲン協定参加を決定
(EU、EFTA、ルーマニア、ブルガリア)
ブカレスト発
2024年01月04日
EU理事会(閣僚理事会)は12月30日、空路と海路に関するルーマニアとブルガリアのシェンゲン協定(注)参加を決定し、両国とシェンゲン協定参加国間の出入国管理を廃止すると発表した。国際線フライトの夏ダイヤ開始時期と合わせるかたちで、3月31日から廃止する。陸路の出入国管理の廃止時期については今後協議するとした。
ルーマニアのイオン=マルチェル・チョラク首相は自身のフェイスブック(12月27日投稿)で、陸路についても2024年中の交渉妥結を確信していると述べた。ブルガリアのアセン・バシレフ財務相は12月28日、メディアに対して「陸路での国境管理が廃止されるまでは、国内経済への十分な効果は得られない。この目標達成を断固として、かつ全力で追求していく」と強調した(「フィナンシャル・タイムズ」2023年12月31日)。
陸路での出入国管理が廃止されれば、物流面での大幅な改善が期待される。現在、陸路でトラックがルーマニアやブルガリアの国境を越える際には、通関で12~72時間を要しており、待機中の人件費や燃料費などが物流コストにも跳ね返っている。ルーマニアとブルガリアのシェンゲン協定参加に対しては、不法移民流入対策上の懸念を理由に、オーストリアなどが反対してきたが(2023年11月28日記事参照)、今回、空路と海路については容認に転じたため、参加条件である同協定参加のEU加盟国の全会一致が得られた。
(注)シェンゲン協定参加国は、ブルガリア、キプロス、アイルランド、ルーマニアを除くEU加盟国に、EFTA加盟国(アイスランド、ノルウェー、スイス、リヒテンシュタイン)を加えた27カ国。
(高崎早和香)
(EU、EFTA、ルーマニア、ブルガリア)
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