フィリピン、インドネシアとMOU締結、エネルギー分野でさらなる協力強化図る

(フィリピン、インドネシア)

マニラ発

2024年01月23日

フィリピンのエネルギー省とインドネシアのエネルギー・鉱物資源省は1月10日、エネルギー分野の協力強化を目的とした覚書(MOU)を締結した。式典には、フィリピンのフェルディナンド・マルコス大統領とインドネシアのジョコ・ウィドド大統領が出席した。

エネルギー省のラファエル・ロティリヤ大臣は「このMOUがより強固なエネルギー安全保障の構築につながることを期待している」と述べた。また、エネルギー転換、再生可能エネルギー、電力需要管理システム(DSM、注)、電気自動車(EV)、水素・アンモニア・バイオ燃料などの代替燃料などに関するインドネシアとの協力を通じて、経済・環境・地政学的分野にも間接的に利益がもたらされることが期待されている。

フィリピンはインドネシアの石炭産業に強く依存しており、2022年の石炭輸入量の約98%は同国が占めていた。しかし、2022年1月にインドネシア政府が石炭の輸出を禁止し(2022年1月7日記事参照)、それ以降、フィリピン政府はインドネシアに対して石炭の安定供給を継続的に要請していた。度重なる外交交渉の結果、エネルギー・鉱物資源省のアリフィン・タスリフ大臣から安定供給維持の確約を得た。

今回のMOUでは、石炭や液化天然ガス(LNG)のようなエネルギー資源の供給が危機的に制限された際、両国の民間セクターが重要な役割を果たすことが強調された。これまでの両国間の協定では、国有企業のみが関与することが一般的だった。

また、ジョコ大統領は、マルコス大統領と両国の国境や貿易での協力関係強化についても合意したと発表した。この協力の下、両国は供給制限時に石炭とLNGの貿易を促進することにも合意している。

(注)省エネルギーや電力消費の偏りを平準化するための施策を電力会社が行うこと。デマンドサイドマネジメント。

(西岡絵里奈、アセンシオ・アシュレイモイラ)

(フィリピン、インドネシア)

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