2023年の乗用車販売は16.7%増、EVシェア低く購入支援継続
(スペイン)
マドリード発
2024年01月12日
スペイン自動車工業会(ANFAC)は1月2日、2023年の乗用車の新車登録台数を前年比16.7%増の94万9,359台と発表した(速報値)。新型コロナウイルス禍前の水準を依然30万台下回る。小型商用車(バン)と産業用車両(トラック、バス)の新車登録台数もそれぞれ14万6,052台(22.0%増)、3万2,454台(25.2%増)といずれも増加した。
主要メーカー・ブランド別の乗用車の新車登録台数は、1位がトヨタ(レクサスを含め8万7,059台、前年比11.4%増)で前年に続き2年連続の首位となった。2位は起亜(6万6,245台、4.6%増)、3位フォルクスワーゲン(6万3,871台、8.5%増)、4位現代(5万8,874台、1.1%減)、5位セアト(5万8,586台、19.1%増)。2022年と同様(2023年10月4日付地域・分析レポート参照)、日韓メーカーが存在感を示した。
乗用車の新車登録台数上位5モデルは、ダチア「サンデロ」(2万7,951台)、セアト「アロナ」(2万1,639台)、トヨタ「カローラ」(1万9,845台)、上海汽車傘下MG「ZS」(1万9,818台)、プジョー「2008」(1万9,433台)となり、中国車が初めてランクインした。
EV購入補助を2024年7月末まで延長
乗用車の新車登録台数を燃料別にみると、代替燃料車(注)のシェアが前年から5.8ポイント増の46.7%となり、ガソリン車(40.8%、1.1ポイント減)とディーゼル車(12.5%、4.7ポイント減)を上回り、初めて最大となった。代替燃料車のうち、購入支援を受けられるバッテリー式電気自動車(BEV)とプラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池車(FCV)の新車登録台数は11万3,784台で、前年比45%増となったものの登録台数全体に占める割合は12.0%と、EU平均(2023年1~11月で21.9%)よりも著しく低い。
こうした状況を受け、政府は2023年11月、BEV、PHEV、FCVを対象とした新車購入補助金(最大7,000ユーロ、経年車の廃車を伴う場合は9,000ユーロ)を2024年7月31日まで延長した。2023年6月に導入済みの個人所得税の税額控除(新車購入価格の15%、控除額は最大3,000ユーロ)も2024年末まで適用される。なお、一部の国でみられるような現地製造のEVを優遇する措置はない。
(注)代替燃料車は、BEV、PHEV、FCV、およびハイブリッド車(HV)、天然ガス自動車(NGV)、液化石油ガス(LPG)自動車を含む。
(伊藤裕規子)
(スペイン)
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