2023年のアフリカのベンチャー投資額は前年比46％減の35億ドル、フランス語圏では件数増加

米国のパーテック・パートナーズが1月23日に発表した報告書「2023 AFRICA TECH VENTURE CAPITAL」によると、2023年のアフリカのスタートアップへの投資額は前年比46％減の35億ドル、投資件数は28％減の547件だった。特に、アーリー（初期）ステージよりもグロース（成長）ステージのスタートアップへの投資が落ち込んだという。

2023年のエクイティ・ファンディング（新株発行を通じた資金調達）について、国別にみると、南アフリカ共和国が5億4,900万ドル（前年比34％減）、ナイジェリアが4億6,900万ドル（59％減）、エジプトが4億3,300万ドル（45％減）、ケニアが3億3,500万ドル（56％減）となった。上位4カ国の資金調達額はいずれも前年より減少したが、アフリカ全体における4カ国の割合は79％を占めた。上位4カ国の資金調達額は落ち込む一方、フランス語圏アフリカでは調達件数が16％増となっている。フランス語圏では、モロッコ、コンゴ共和国、ルワンダ、チュニジア、セネガルが調達金額でアフリカ上位10カ国に入った。

アフリカでの2023年の国別のスタートアップのエクイティ・ファンディングの上位10カ国および件数は次のとおり。

• 南アフリカ共和国：5億4,900万ドル、83件
• ナイジェリア：4億6,900万ドル、111件
• エジプト：4億3,300万ドル、60件
• ケニア：3億3,500万ドル、67件
• モロッコ：9,300万ドル、17件
• ガーナ：7,500万ドル、16件
• コンゴ共和国：4,200万ドル、2件
• ルワンダ：3,800万ドル、11件
• チュニジア：3,300万ドル、16件
• セネガル：2,700万ドル、12件

エクイティ・ファンディングの分野別をみると、フィンテックが8億5,200万ドル、Eコマースが2億9,800万ドル、クリーン（環境関連）テックが2億9,600万ドル、ヘルステックが2億1,200万ドルとなり、投資額が多かった。

また、アフリカでのベンチャー投資額のうち35％をデット・ファンディンク（金融機関や投資家からの借り入れを通じた資金調達）が占め、国別ではケニア、分野ではクリーンテック向けのデッド・ファンディングが多くなっている。

なお、アラブ首長国連邦（UAE）の調査会社マグニット（Magnitt）によると、新興国全体向けで前年比51％減となる中、中東・北アフリカ地域の2023年のベンチャー投資額は23％減の27億ドルで、落ち込みは新興国全体よりも軽度だったという（2024年1月16日記事参照）。

（井澤壌士）