GJ州首相が世界的半導体製造ハブ創設へ決意、投資誘致のVGGSで

(インド)

アーメダバード発

2024年01月16日

インド西部グジャラート(GJ)州で1月10~12日に開催された投資誘致イベント「第10回バイブラント・グジャラート・グローバル・サミット(VGGS)」の2日目に行われた「半導体・エレクトロニクス」セッションにおいて、ブペンドラ・パテルGJ州首相は、同州を「半導体・電子機器製造のグローバルハブ」に変貌(へんぼう)させる決意を示した。また、連邦政府のアシュウィニ・バイシュナウ通信相兼電子情報技術相は、2024年に初のインド製半導体がGJ州で生産されることを受け、州内に半導体研究開発センターを設立するよう提案した。同セッションでは、半導体関連の3つの覚書(MOU)が締結されている。

写真 半導体・エレクトロニクスセッションの様子(1月11日、ジェトロ撮影)

半導体・エレクトロニクスセッションの様子(1月11日、ジェトロ撮影)

パテルGJ州首相は、同州がインドで最初に州レベルの半導体政策を発表したパイオニアであるとし、モディ首相の半導体政策に呼応するかたちで、同州を「半導体・エレクトロニクス製造の世界的な製造拠点」に育成する自信を示した。その上で、イニシアチブのロードマップ(行程表)を概説し、フロントランナーとして人工知能(AI)、IT、バイオテクノロジー、フィンテック、ドローン、半導体などの先進産業分野に注力し、「未来に向けたインドのための未来に備えるグジャラート州(Future Ready Gujarat for a Future Ready India )」を確立する決意を強調した。さらに、インド全土におけるテクノロジーの急速な普及は明らかで、半導体と電子デバイスが果たす役割の重要性が際立っていると指摘。世界的に信頼のおける半導体供給網に対する需要が高まっており、これを確立するためにGJ州が重要な役割を果たすだろうと述べた。

一方、バイシュナウ氏は「半導体産業は今後10年間で100万人以上の人材を必要とする。この人材育成が半導体政策の最大の目標の1つで、われわれは104の大学・研究機関と提携し、工学士や工学博士レベルの人材を育成しており、クリーンルームを管理するための優れたトレーニングを提供する機関とも協力している。インドは人材供給体制が整っている」と述べた。同氏は、米国半導体大手マイクロン・テクノロジーに対し、半導体産業における継続的な研究を行うよう促し、インド工科大学(IIT)ガンディナガル校に半導体エクセレンスセンターを設立することも提案した。

半導体・エレクトロニクスセッションでは、GJ州政府と韓国のプリント基板(PCB)製造のシムテックがマイクロンと同じアーメダバード近郊のサナンドII工業団地内に125億ルピー(約225億円、1ルピー=約1.8円)を投資し、サブストレート工場を建設する覚書を締結。また、半導体人材育成に向けたプログラムにつき、マイクロンとナムテック(アルセロール・ミッタルと日本製鉄の合弁会社アルセロール ミッタル ニッポンスチール インディアが設立した総合工科学校、NAMTECH)米国ネットワーク機器大手シスコシステムズとナムテックの間で、それぞれ覚書が締結された。

(古川毅彦)

(インド)

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