2024年国家予算が成立、教育・公共インフラの改善を目指す

(フィリピン)

マニラ発

2024年01月17日

フィリピンのフェルディナンド・マルコス大統領が2023年12月20日、2024年の国家予算案に署名し、同予算が成立した。予算規模は5兆7,680億ペソ(約15兆円、1ペソ=約2.6円)で、2023年の5兆2,680億ペソから9.5%増加した。これは、GDPの21.7%に相当する規模で、過去最大を更新した(2022年9月9日記事参照)。

2024年国家予算は、マルコス大統領が掲げる「8項目の社会経済アジェンダ」(2022年8月1日記事参照)および「フィリピン開発計画2023-2028」(2023年2月6日記事参照)に基づき、支出の優先順位がつけられている。予算割当の内訳は次のとおり。

  • 教育・人材開発・社会保障・福祉・雇用などの「社会サービス部門」には、2兆1,830億ペソが割り当てられた。2023年予算比で8.9%増額(2023年の予算金額は2兆40億ペソ)した。予算全体の4割近くを同部門に割り当てることで、フィリピン人に対し質の高い、公平かつ包括的な教育へのアクセスを提供することを掲げている。また、社会福祉も充実させ、フィリピン人の生活の質の向上も目指す。
  • 公共インフラ・農業などの「経済サービス部門」には、1兆7,090億ペソが割り当てられた。前年比で5.2%増額(同1兆6,240億ペソ)された。「ビルド・ベター・モア」プログラムを通じたインフラ開発によるフィリピン人の生活の質の向上、食料価格の抑制および十分な食料供給を目指す。
  • 治安維持および一般行政などの「一般公共サービス部門」には、8,933億ペソが割り当てられた。前年比で12.2%増額(同7,960億ペソ)となった。その他、国内外からの借入金への利払いおよび政府系企業に対する純貸し付けのための「債務負担部門」には6,992億ペソ(前年比で14.4%増、同6,110億ペソ)、「国防部門」には2,827億ペソ(21.6%増、同2,325億ペソ)がそれぞれ割り当てられた。

また、政府機関での内訳をみると、教育省など教育関係機関が最も多く9,247億ペソの予算が割り当てられ、公共事業道路省(8,222億ペソ)、保健省を含むヘルスケア関係機関(3,061億ペソ)がこれに続いた。

(西岡絵里奈、アセンシオ・アシュレイモイラ)

(フィリピン)

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