マクロン大統領、新首相にアタル国民教育・若者相を指名

(フランス)

パリ発

2024年01月11日

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は1月9日、前日に辞職したエリザベット・ボルヌ首相の後任にガブリエル・アタル国民教育・若者相を指名した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。大統領は自身のX(旧ツイッター)アカウントで、アタル氏に向けて「私が予告した(フランスの)再強化と再生プロジェクトを実現するために君のエネルギーとアンガジュマン(献身)を頼りにしている。超克と勇気という、(大統領選挙で初勝利を飾った)2017年のエスプリ(精神)を守りつつ。国家と国民のために」と投稿した。

アタル氏は2017年の大統領選でマクロン候補を支持し、自身も同年の国民議会選挙でマクロン大統領の中道政党「共和国前進(現・ルネッサンス)」から立候補し当選した。マクロン政権下で、国民教育・若者相付副相(2018~2020年)、政府報道官(2020~2022年)、経済・財務・産業およびデジタル主権相付公会計担当相(2022~2023年)を経て、2023年7月からは国民教育・若者相を務めるなど政治家としての頭角を現した。今回、34歳の若さで首相に抜擢(ばってき)され、1958年に成立した第5共和政下で最年少の首相となる。

年金制度改革や移民法成立に係る混乱などから、マクロン大統領とボルヌ前首相の支持率は低迷が続いていた(2023年12月は前者が32%、後者が28%、世論調査会社イフォップ調べ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。一方、世論調査会社エラブ(Erabe)の2024年1月4日付発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによれば、アタル氏の支持率は39%だった。急進右派・国民連合(RN)のマリーヌ・ルペン前党首(現・RN国民議会議員団会長)(36%)を抑え、中道右派政党「オリゾン」のエドワール・フィリップ党首(41%)に次ぐ2位に躍り出た。

マクロン大統領は6月9日に行われる欧州議会議員選挙に向け、支持率が急上昇するアタル氏を起用することで、政権のイメージ刷新を図るとみられる。RNのマリーヌ・ルペン氏は、アタル新首相誕生について同日、自身のXアカウントで「(マクロン政権下の)7年間で4人目となる首相に国民が期待できることは何もない。(政治家の)野心とエゴの子供じみたバレエ(踊り)にうんざりした国民は、優先政策課題の軸を国民に据えたプロジェクトを待ち望んでいる。この政策変更の道は6月9日に始まる」と投稿し、6月の欧州議会議員選挙で政権交代の是非を問う意向を表明した。

イフォップが12月15日に発表した世論調査の結果によれば、6月の欧州議会議員選挙でRNに投票すると答えた人の割合は30%に達し、与党連合に投票すると答えた人の割合(18%)を大きく上回った。

(山崎あき)

(フランス)

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