バイデン米政権、EV充電器拡充に向け、複数の資金提供発表

(米国)

ニューヨーク発

2024年01月24日

米国運輸省は1月18日、既存の電気自動車(EV)充電インフラの信頼性を高めるため、カリフォルニア州やワシントン州など20州の24の機関に対し、合計約1億5,000万ドルの助成金を交付すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。これにより約4,500個のEV充電ポートの修理や交換などが可能となる。同助成金は、2021年11月に成立したインフラ投資雇用法(IIJA)の下で定められた総額50億ドルのNEVIフォーミュラプログラム(2022年9月29日記事参照)の一環で、運輸省傘下の連邦道路局(FHWA)が管轄し、運輸省とエネルギー省による共同オフィスが運営する。

また、翌19日には、米エネルギー省がEV充電へのアクセス拡大と労働力強化のための30件のプロジェクトに対し、合計4,650万ドルを提供すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。IIJAの一環で、対象にはクリーンな交通機関とスクールバスの配備、ハリケーンや山火事に対する充電器の回復力強化、労働力開発といったプロジェクトが含まれる。具体的には、ノースカロライナ州などで行われる充電器の実用化テストに関する取り組みや、バージニア州での充電器のメンテナンス問題に対処するサービスプロバイダーの養成などが含まれる。運輸省のピート・ブティジェッジ長官は「バイデン・ハリス政権は米国がEV競争に確実に勝利し、高賃金の雇用とクリーンエネルギー製造業の経済の恩恵を確実に獲得することに重点を置いている。今回の資金はその使命達成のための一部で、米国の労働者によって米国で作られたEVと充電器によって新しい自動車経済を成長させるものだ」と述べた。

エネルギー省によると、全米の1月時点のEV充電ポート数は約16万個と、2022年の約14万個より伸びているものの、政府目標の達成には課題も多い。同省によると、2023年10月時点で約6%は故障しており、市場調査会社JDパワーによるアンケートでは、ドライバーの2割が機器の不具合によって公共充電施設で充電できなかった経験がある。今回の一連の資金提供により、機器の不備やメンテナス人材不足の解決に向け、テコ入れを行うとみられる。

(大原典子)

(米国)

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