国際海運大手マースク、GJ州のコールドチェーン施設着工

(インド)

アーメダバード発

2024年01月25日

デンマークの海運大手APモラー・マースクは1月18日、コールドチェーン物流事業強化のため、インド西部のグジャラート(GJ)州アーメダバード近郊(北西約75キロ)のメーサナにおいて、冷凍施設の建設に着工したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

マースクの新たな冷凍施設は、ファニダール・メガ・フード工業団地(注)内で、専用顧客となる地場冷凍食品大手ハイファン・フーズの製造施設の近くに建設される。投資額は11億3,000万ルピー(約20億3,400万円、1ルピー=約1.8円)で、敷地面積は26万平方フィート(約2万4,150平方メートル)。生鮮冷凍加工食品向けに温度管理された保管ソリューションを提供し、マザー冷凍施設として機能する。単体としては、インド最大級の1万4,700パレットを収容できる冷凍施設となる。

マースクは最新の倉庫管理システムを導入し、在庫状況のリアルタイムな把握により、効率的な在庫管理が可能になると説明している。顧客が複数の小規模施設の物流管理を行う代わりに、単一の施設で全ての貨物を保管・管理が可能になるという。また、新施設には天然ガス由来のアンモニア冷凍方式を採用、太陽光発電、雨水利用、下水処理施設、ゼロ排出といったグリーンビルディングの要件も踏まえ、同社の脱炭素化目標にも貢献する。

マースクによると、今回のGJ州での新規投資は「真に統合された」エンド・ツー・エンドの物流ソリューションの実現に向けた第一歩と位置付けられる。同社の統合型コールドチェーン・ソリューションには、道路や鉄道による港までの商品の輸送、港でのさまざまな調整、通関手続き、輸出貨物の海上輸送などの全工程が含まれる。また、コールドチェーン輸送中の温度や重要条件を可視化し、顧客がモニターできる遠隔コンテナ管理システムも提供している。

ハイファン・フーズのカムレシュ・カラムチャンダニ販売マーケティング部長は「食の安全性と品質は、究極の顧客満足のための最優先事項。この実現に向け、当社は加工食品の輸送のための切れ目のないコールドチェーンを軸とするサプライチェーンモデルの見直しを行った。新施設は、当社のサプライチェーンの簡素化に貢献する」と表明している。

(注)インド食品加工産業省の認可プロジェクトとして開発された工業団地。腐りやすい農産物に付加価値を与える「農場から食卓へ」を実現するため、食品加工産業インフラを提供することが目的。GJ州メーサナの52エーカー(約21万平方メートル)の土地に、集荷センター、一次加工センター、中央加工センター、コールドチェーン物流などを含む、食品加工とサプライチェーンのインフラ、食品加工所を設立する起業家向けに開発された39区画で構成される。

(古川毅彦)

(インド)

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