インド財務省、金留め具などの輸入関税を引き上げ

(インド)

調査部アジア大洋州課

2024年01月31日

インド財務省は1月22日、一部の貴金属に対する輸入関税と目的税を合わせて15%程度にまで引き上げると発表した。金や銀を使用したフックやピンなどの貴金属留め具部品、貴金属でできたコイン、貴金属を含む廃触媒や灰などが対象となる。これにより発表日から、対象品目には基本関税10%に加え、4.35~5%の農業インフラ・開発目的税(Agriculture Infrastructure and Development Cess:AIDC、注1)が課されている。

各品目のAIDC課税率については、次のとおり。

  • 貴金属を含む廃触媒と灰は4.35%
  • 金・銀を使用した貴金属留め具部品は5%
  • 貴金属のコインは5%

インドは、世界2位の金消費国だが、その多くは輸入に頼っている状況だ。インド商工省・通商情報統計局(DGCI&S)によれば、2023年1月から11月(注2)までの金、銀の輸入額は、それぞれ約396億ドル、約25億ドルに上り、金は輸入品目の中では原油・石油製品に次ぐウエートを占めている。

地元メディアは今回の関税引き上げについて、金銀が、AIDCが付加される地金の状態ではなく、付加されない貴金属留め具部品として輸入される傾向にあるため、これを回避することが目的と分析している(「ヒンドゥー・ビジネスライン」1月23日)。これを受け、インド国内における金の先物取引価格については、発効翌日の1月23日の取引開始時から上昇するなど、影響が出始めている(「ミント」1月23日)。

(注1)AIDCは、さまざまな項目に分類される特定の商品に対して、2.5~100%の税率で通知されており、基本関税と同様の取引額に基づいて計算される。

(注2)最新の公表データは2023年11月まで。

(深津佑野)

(インド)

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