WEF、バングラデシュのリスク首位にエネルギー供給不足

(バングラデシュ)

調査部アジア大洋州課

2024年01月26日

世界経済フォーラム(WEF)は1月10日、スイスのダボスで開催された年次総会(2024年1月15日記事参照)に先立ち、最新の「グローバルリスク報告書(Global Risk Report)2024」(注)を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同報告書で、バングラデシュ経済は今後2年間で6つのリスク要因に直面する可能性があるとした。

前回2023年の報告書でのバングラデシュの5大リスクは、急速かつ/または持続的なインフレ、債務危機、深刻なコモディティー価格の影響、人為的な環境破壊、資源をめぐる地政学的な争いだった。今回の2024年版では、エネルギー供給不足、インフレ、景気低迷、富や所得の不平等に加え、公的債務と失業の2項目が、リスクをもたらしているとした。

現在の最も主要なリスクとされたエネルギー供給不足については、現地報道によると、関係当局はガス不足のため輸出志向型産業にはガスが供給されているものの、中小企業にはガス供給を制限している状況や、政府によるガス料金の値上げ後もガスの供給が確保できていないとされている(「プロトム・アロー」紙1月12日)。WEFの報告書でも、電力料金の値上げも産業界の生産コストを上昇させている点が指摘されている。

また、バングラデシュは資金不足のため、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に遅れをとるだろうとされている。2030年までにSDGsを達成するためには、バングラデシュ政府は国民1人当たり400ドルを投資する必要がある。

同報告書はさらに、政府債務の増加が、民間セクターの信用の流れを鈍らせることで投資の妨げとなり、銀行貸出金利の上昇も招くとした。

なお、世界のビジネスパーソンが、今後2年間の最も深刻なグローバルリスクとして挙げたのは、誤報および偽情報、異常気象、社会の分極化、サイバーセキュリティー、武力紛争などだった。

(注)2023年4~8月に実施した意識調査。1万1,000人を超える回答者(世界各国の専門家)が、潜在的リスク36項目の中から、自国にとって最大の脅威となりうる5つのリスクを選んだ。

(寺島かほる)

(バングラデシュ)

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