米エンジン製造大手カミンズ、大気浄化法違反に関する訴訟で約17億ドルの制裁金に合意

(米国)

シカゴ発

2024年01月19日

米国連邦司法省と環境保護庁(EPA)、カリフォルニア州大気資源局(CARB)、同州司法局は1月10日、米国ディーゼルエンジン製造大手のカミンズ(本社:インディアナ州コロンバス)が連邦の環境規制の大気浄化法(CAA)とカリフォルニア州法に違反した疑いがあるとする民事訴訟に関し、同社との和解合意の詳細を発表した。カミンズは、CAA違反による民事罰としては過去最大となる16億7,500万ドルを支払うとともに、排出ガス試験と認証要件を不正に回避するソフトウエアの使用を含む違反の是正に3億2,500万ドル以上を支出することに同意した。

この訴訟は、EPAが国立自動車・燃料排出研究所(NVFEL)での試験を通じて、ステランティスのRAMピックアップトラックに用いたカミンズ製エンジンへの違法な排出ガス制御ソフトウエア搭載を発見したことが発端となっている。この排出ガス制御ソフトウエアは、排出ガスの認証テスト時に排出ガスを制御するように設計されていたものの、実際の路上走行時には排ガス制御の効果を違法に低下させる。今回の訴訟の対象となったのは、同社製のディーゼルエンジンが使用された2013~2023年モデルのRAM 2500とRAM 3500ピックアップトラックで、全国で約100万台(カリフォルニア州では約9万7,000台)に上る。このうち、実際にリコールとなるのは2013~2019年製造モデルの63万台以上で、連邦とカリフォルニア州はこれらの車両に違法な排出ガス制御ソフトウエア違反装置機能が搭載されていたと主張している。残りの2019~2023年製造モデルについては、違法なソフトウエア機能は搭載していなかったが、カミンズがソフトウエアに関する情報開示をしなかったため、大気浄化法に違反することとなり、今回の訴訟の対象となった。

今回の和解に基づき、カミンズは同社のディーゼルエンジンに搭載しているピックアップトラックのエンジン制御ソフトウエアを修理・交換するため、全国規模でリコールを実施しなければならない。また、修理した車両の特定部品の保証期間の延長や、車両から排出する過剰な窒素酸化物(NOx)を軽減するためのプロジェクトへの資金提供と実施も和解の内容に盛り込まれている。

(星野香織)

(米国)

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