12月の前月比消費者物価上昇率、過去33年間で最高値、1月以降は低下予測

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2024年01月19日

アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)は1月11日、12月の消費者物価指数(CPI)上昇率が全国平均値で前月比25.5%増だったと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。11月に記録した12.8%から倍増し、単月の前月比伸び率としては過去33年間で最も高くなった。前年同月比(年率)では211.4%増と、11カ月連続で100%を超え、2022年の上昇率94.8%を大きく上回った(添付資料図参照)。

12月の前月比伸び率の項目別にみると、季節によって価格が変動する生鮮食品や観光サービスなどの財・サービスは16.2%増、エネルギーや公共サービスなど価格統制された財・サービスは20.7%増、季節要因と価格統制要因を除いたコアインフレ率は前月比28.3%増と、いずれも大幅に上昇した。

12月の前月比伸び率を費目別にみると、平均値を上回ったのは、日用品などを含むその他の財およびサービス32.7%増、医療・健康32.6%増、交通31.7%増。INDECによると、医療・健康の上昇率は、民間医療保険料が前月に続いて大幅に上がったためだ。交通の上昇率は、燃料価格の引き上げが要因だとした。CPIに占める比重が大きい食品・飲料(酒類を除く)は29.7%増、特に肉類、パン類が大きく値上がりした(添付資料表1参照)。

1月11日付の現地紙「アンビト」(電子版)によると、加速を続けていたCPI上昇率をさらに押し上げた要因の1つは、12月10日に発足したハビエル・ミレイ政権が13日に対ドル公式為替レートを50%超切り下げたことにある。しかし、複数の現地エコノミストらは、12月末と1月初旬では、食品や価格統制されていない財・サービスの値上げが減速したとしており、1月のCPI上昇率は約20%と、12月に比べてわずかに落ち着くと予測している。今後も公共料金や医療保険料、燃料、教育費、公共交通機関の料金などの見直し実施される予定だが、2月から5月のCPI上昇率は10%台にとどまり、6月には約8%と1桁台まで落ち着く可能性があるとしている。ジェトロが1月16日にブエノスアイレス市内で独自に行った価格調査(添付資料表2参照)でも、前月比で価格が大幅に伸びた品目がある一方、下がった品目も複数確認された。

中央銀行が民間エコノミストらを対象に毎月実施している主要経済指標の予測調査(REM)の最新調査結果PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(2023年12月版)によると、CPI上昇率は6月に向けて徐々に減速するが、2024年通年では213%増を予測している。

写真 ブエノスアイレス市内の店舗で大幅に値上がりした日用品(ジェトロ撮影)

ブエノスアイレス市内の店舗で大幅に値上がりした日用品(ジェトロ撮影)

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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