米FDA、カナダからの処方薬輸入プログラムをフロリダ州で許可、米国初

(米国、カナダ)

アトランタ発

2024年01月10日

米国食品医薬品局(FDA)は1月5日、連邦食品医薬品化粧品法(FD&C法)第804条に基づき、フロリダ州医療管理局のカナダからの処方薬輸入プログラムを許可外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。カナダからの処方薬輸入プログラムが許可されたのは米国で初めて。

FDAはFD&C法第804条に基づき、公衆衛生と安全性に新たなリスクを課すことなく医薬品の購入費用を大幅に削減するために、カナダから特定の処方薬を輸入する経路を設定している。同経路適用のためには、州などが第804条輸入プログラム(SIP)提案を策定し、FDAの承認を得る必要がある。SIP提案の評価時に、FDAに当該医薬品の追加情報などの提出が要求される場合がある。また、許可された後も、医薬品を輸入する際には、FDAの許可を得る必要がある。

今回許可されたフロリダ州のSIP提案では、輸入される医薬品の最初の出荷がFDAに通知された日から2年間、輸入が認められる。輸入にあたっては、当該医薬品の真正性とFDAが承認した医薬品の仕様および基準への準拠が検査されている必要がある。また、当該医薬品のラベルも、FDAが承認したラベルに貼りかえる必要がある。さらに、フロリダ州医療管理局は、輸入された医薬品や削減されたコスト、潜在的な安全性と品質に関する情報を含む四半期報告書をFDAに提出する必要がある。

フロリダ州医療管理局は、2020年11月にSIP提案をFDAに提出し、5回の改訂の後、許可された。2020年以降、フロリダ州はSIPの審査の遅延に対して訴訟を起こすなど、承認を得るために積極的に働きかけてきた。フロリダ州によると、SIPが完全に実施されれば、年間で最大1億8,300万ドルの医薬品購入費用が削減されるとのことだ。まずは、HIV/AIDS、精神疾患、前立腺がん、尿素サイクル異常症といった慢性的疾患を抱えた患者向けの維持療法薬を含む、少数の薬物クラスの処方薬を提供する予定だ。

一方で、製薬業界の主要団体である米国研究製薬工業協会(PhRMA)のステファン・ユーブル理事長兼最高経営責任者(CEO)は「フロリダ州の輸入計画を承認したFDAの無謀な決定を深く憂慮している」「政治家は、米国人と医療との間に立ち入るのをやめる必要がある。PhRMAは、この政策が患者に害を与えないよう、あらゆる選択肢を検討している」と懸念を述べた。報道によると、コロラド州やニューハンプシャー州も同経路の利用を検討しているが、フロリダ州と比べて進捗は遅れているとのことだ(「ポリティコ」1月5日)。

(檀野浩規)

(米国、カナダ)

ビジネス短信 46eac27582ec5f62