インド、EUとの半導体エコシステムの協力覚書を閣議決定

(インド、EU)

アーメダバード発

2024年01月24日

インド連邦政府は1月18日、「EUインド貿易技術評議会(TTC)」の枠組みでのインドとEU間の半導体エコシステムの作業取り決めに関する覚書を閣議決定した。同覚書は2023年11月21日にインドと欧州委員会の間で調印されていた。

覚書は半導体エコシステムとサプライチェーン、技術革新分野が対象。インド側によると、産業とデジタル技術発展のための半導体利用に向けて、インドとEUの協力強化を意図している。政府間や事業者間の協力により、半導体サプライチェーンの強靭(きょうじん)性を高め、補完的な強みを活用して半導体分野の協力を促進する。そのほか、EUとの間で研究開発や人材育成、業界への補助金に対する透明性確保などの協力も盛り込んでいる。

インド電子・情報技術省(MeitY)は「インド半導体プログラム」による財政支援スキームを導入、インドでの半導体・ディスプレー製造エコシステム構築を目的として、半導体、ディスプレー、半導体組み立て・テスト・マーキング・パッケージング(ATMP)/半導体組み立て・テスト受託(OSAT)など、インドへの関連分野の投資誘致を財政的に支援している。また、2国間や地域的な枠組みの下で、これら分野での国際協力を推進する重要な役割を負っており、さまざまな国の組織・機関との協定を締結している。

近年、対米協力強化の動きも顕著だ。1月10日にはグジャラート(GJ)州で開催された投資誘致イベント「バイブラント・グジャラート・グローバル・サミット(VGGS)」の国別セッションの1つとして「未来を形作る~米国とインドの2国間関係の進化」と題した「米インド・ビジネス協議会」主催のセミナーが開催された。

セミナーの中で、在ムンバイ米国総領事館のマイク・ハンキー総領事は、インドと米国はこれまでにない良好な関係にあり、政府高官による2国間の頻繁な訪問が両国の絆を強め、関係強化に貢献しているとの見解を示した。その上で、防衛、宇宙、半導体分野の発展での両国パートナーシップの重要性を強調し、米国はインドの宇宙開発のパートナーになることを熱望していると述べた。さらに、GJ州サナンドで製造拠点設立を進める米半導体大手の現地法人マイクロン・インディアのアナンド・ラマムルティ副社長は進出の背景として、人工知能(AI)などの発展により長期的に半導体需要が見込まれる上、インド政府のインセンティブや戦略的政策が実態を伴っていることによる信頼性、GJ州の既存の製造業のエコシステムや大学などによる人材供給面などを考慮したと語った。

(古川毅彦)

(インド、EU)

ビジネス短信 448dd26912df8ff9