最低賃金は2024年7月に平均6%引き上げへ、最終案決まる
(ベトナム)
ハノイ発
2024年01月09日
ベトナム政労使で構成する国家賃金評議会は2023年12月20日、2024年の地域別最低賃金を協議し、2024年7月1日から月額で平均6%引き上げる案を決定した。この案は政府にあげられ、ファム・ミン・チン首相の承認後、正式に公布する見通しだ。最低賃金の改定は2022年7月以来(2022年6月17日記事参照)、2年ぶりとなる見込み。
最低賃金額は、政令に基づいて地域別に設定されている。国家賃金評議会の提案によると、ハノイ市、ハイフォン市、ホーチミン市を含む地域1は現行から6.0%増の496万ドン(約2万9,260円、1ドン=約0.0059円)、地域2(ダナン市、バクニン省など)は6.0%増の441万ドン、地域3(ハナム省など)は6.0%増の386万ドン、地域4(地域1~3以外)は6.2%増の345万ドンに改定する(添付資料表参照)。
従来、ベトナムの最低賃金は毎年1月に改定されていたが、新型コロナ禍や経済低迷などの影響で、改定のタイミングが不規則になっている。2020年1月の引き上げ以降、2021年と2023年の改定は見送られ、2022年は7月に改定された。
労働者代表の労働総同盟(VGCL)が2023年7月に実施した調査によると、労働者の75.5%が現行の最低賃金は家庭内の支出をまかなえていないと回答。多くの労働者が生活費の上昇などを背景に残業をしているという。協議の場で、VGCLは同調査結果を基に、月額最低賃金の6.5~7.3%の引き上げを提案した。一方、使用者代表のベトナム商工連盟(VCCI)は経営と雇用を両立して維持するため、4~5%程度に引き上げ幅を抑えるよう訴えた。
国家賃金評議会は両者の要望を調和するかたちで、月額最低賃金を平均6%引き上げる案を決定した。同評議会の会長を務める、政府代表の労働・傷病兵・社会問題省のレ・バン・タイン副大臣は「6%が適切な水準であり、VGCL、VCCIを含む賃金評議会の会員からの合意を得た」と述べた。
なお、2022年の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年比3.2%、2023年1~11月のCPI上昇率は前年同期比3.2%であることから、最低賃金の上昇率は、直近2年の物価上昇の合算分をわずかに下回る水準となりそうだ。
(グエン・ラン)
(ベトナム)
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