韓国、GCCとFTA妥結、中東への輸出競争力を強化

(韓国)

調査部中国北アジア課

2024年01月11日

韓国産業通商資源部は2023年12月28日、湾岸協力会議(GCC)の6カ国と自由貿易協定(FTA)の締結交渉が妥結したと発表した(韓国産業通商資源部プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。韓国が締結する25番目のFTAとなり、中東諸国とFTAを結ぶのは、2023年10月14日にアラブ首長国連邦(UAE)と包括的経済連携協定(CEPA)の締結交渉を妥結して以来となる(2023年10月17日記事参照)。同産業通商資源部の関係者は、GCC諸国との同協定の妥結により、日本や中国などの諸外国より自動車や防衛産業などの輸出で競争優位性を確立することができ、エネルギー資源を安定的に確保できるようになったと話した(聯合ニュース2023年12月28日付)。

FTA締結によって、韓国とGCC諸国は、品目数ベースでそれぞれ89.9%、76.4%の関税を発効後、20年以内に撤廃する。GCCはさらに4.1%の品目の関税を引き下げる。品目別では、韓国は液化天然ガス(関税率3%、15年で撤廃)、液化石油ガス(関税率3%、5年で撤廃)、一部の石油製品(関税率3~8%、10~15年で撤廃)、アルミニウム製品(関税率1~8%、即時~15年で撤廃)など、GCC諸国の主力輸出品に課してきた関税を段階的に削減・撤廃する。ただし、最も輸入の多い原油は関税撤廃対象から外した。一方で、GCC諸国はエンジン車(5~20年)、自動車部品(10~20年)、機械類(即時~20年)、武器類(即時~20年)など、韓国の主力輸出品に課してきた5%の関税を最長20年かけて段階的に撤廃する。

また、同協定の協定文において、GCC主要国に韓国の映画、ビデオの配給サービス、医療および歯科医療のサービスを提供し、中東を中心にKコンテンツや韓流を普及させるための環境を整備すると言及された。その他、GCC諸国で収集したデータを越境移転し、電子商取引を促進する「データの自由な流通」に関する規定の合意で、デジタルを活用した韓国企業と韓国産商品のGCC諸国進出拡大の基盤を整備するとした。

産業通商資源部の安徳根(アン・ドックン)通商交渉本部長(大臣級)は「UAEとのCEPA妥結や、今回のGCC6カ国とのFTA妥結によって、韓国と中東諸国との関係は新たな局面を迎えている。2024年からGCC諸国との貿易・投資を拡大し、緊密な協力関係を構築したうえで、中東と隣接しているアフリカ地域との産業およびエネルギー資源分野での協力を推進していきたい」と述べた。

(益森有祐実)

(韓国)

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